<日本ハム9-7西武>◇31日◇帯広

 日本ハム中田翔内野手(21)が豪快な1発で、連敗を3で止める快勝へ導いた。西武のエース涌井から6回、バックスクリーン左へ2戦ぶりの3号ソロを打ち込んだ。プロ初本塁打を放って以降、5試合で3発と量産モードに突入した。7月19日に1軍へ再昇格後、これで6試合連続安打となった。オリックス金子千に続くエースからの本塁打でレギュラー奪取の可能性を膨らませ、5位に沈むチームの救世主候補に急浮上した。

 十勝平野に響き渡るような驚嘆の声が上がった。中田が一振りで、帯広の1万8000人の観衆を魅了した。先頭打者の6回。涌井の高めに抜けたフォークを、はじき返した。パワーでボールをつぶすような鈍い快音を残し、打球は力強く空を舞った。中堅左、青々とした芝生席へ飛び込んだ。リードを7点に広げ、チームの連敗ストップを確実にした。

 2度の対戦で5打数無安打2三振の涌井が相手。「どのボールも一級品だし、初球からどんどん振っていこうと思っていた」。4月16日以来の再戦で、4回の中前打を含め、今季2度目の複数安打をマークした。

 前カードの7月27日オリックス戦。敵地スタンドに広島から、最愛の母香織さん(46)が駆けつけた。2号を放った、その夜。神戸市内の和食店で、久々に食事をともにした。その席で「まだプロじゃなくて『フロ野球選手』になったくらい。ここからが大事」とゲキを飛ばされたが、不要だった。

 強いきずなで結ばれている母と子。試合前は禁酒している中田に、この日だけはと祝杯のビールを勧めたが、断じて口をつけなかった。胃袋へ詰め込んだのは、もずく、豆腐など栄養価が高い食材だけ。メニューにはない納豆を特別注文までして、食欲を満たしたという。入団時は意識が低いなどという一部の声もあったが、少しずつ変わり、成績にも表れてきている。

 左半月板手術などを乗り越え、1軍再昇格後は6試合連続安打で、ここ5戦3発。厳しく接してきた梨田監督も「しっかり対応できているし、結果が出ているから」と認めた。この日の涌井、2号を放ったオリックス金子千とリーグを代表するエース右腕を連破して、株を上げた。「チャンスをもらえなくなる不安もあるけれど、そんなこと考えてられない」。眠りから覚めた21歳アーチストの猛反攻が始まった。【高山通史】

 [2010年8月1日7時47分

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