<日本ハム1-7楽天>◇8日◇札幌ドーム
右腕を小刻みに震わせ、楽天田中将大投手(21)は待ち受けていた。松やにで黒くすすけたヘルメットを目深にかぶり、悠然と中田が来た。最も旬なスラッガーとの公式戦初対戦。4万人が詰まっているにしては異様なほど、札幌ドームは静かになった。
まず貫禄(かんろく)を示したのは田中だった。2回2死、第1打席。内角ツーシームで胸元を起こした。「ぶつけてもいいくらい厳しく、内角を攻めることが大切」と、顔近くの高めにジャブを打った。この2球を伏線とし、3球目から外角低めへ変化球を徹底。最後はフォークボールを振らせる王道の投球で空振り三振を取った。
ドラマは8回にあった。先頭で迎えた3度目の対戦は、第1打席より厳しく、ツーシームで懐を攻めた。捕手嶋は「万全を期して」内角を3球続けた。その3球目。内角高くえぐった141キロを中田は打った。「最後、狙い打たれた感じがする。うまく打たれた」。石橋をたたいて封じる最終段階で、食らったソロ本塁打だった。だが田中は、このポイントゲッターを「中田が打って大量失点につながっていた。その前を特に気をつけた」と注意し、すべて無走者で迎えた。「完封したかったのですが」と、悔やんだが2年連続2けた勝利に到達した。
無四球完投勝ちも質問は中田と対峙(たいじ)した3打席に終始した。田中は「何回聞くんですかぁ…。もう十分でしょう」と笑っていたが「今後に向けいい材料ができた」と、すぐ次回対戦を見た。これから続く名勝負、まずは互角。「楽しみにしていただいて。期待に応えることができたらうれしい」。すべての野球好きと同様、田中自身も再戦を待ち望んだ。【宮下敬至】
[2010年8月9日11時59分
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