<パCSファーストステージ:西武4-5ロッテ>◇第2戦◇10日◇西武ドーム
ロッテが2試合連続の延長戦を制し、2連勝でクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ進出を果たした。1点を追う9回に、里崎智也捕手(34)が起死回生の同点ソロを放ち、延長11回2死一、二塁から井口資仁内野手(35)が決勝の適時中前打を放った。死闘を制した要因は、西村徳文監督(50)の積極采配。厳しい鬼采配で、選手を戦う集団にまとめ上げた。ロッテのCSファイナルステージ進出は07年以来。05年以来の日本シリーズ出場に向けて、14日からソフトバンクと福岡ヤフードームで戦う。
西村監督の両目は、真っ赤に充血していた。2試合連続延長戦。2試合連続3点差以上の逆転勝利。あまりにもクライマックスな死闘を制し「選手の頑張りがすべて。全員の勝利です」と満面の笑みで言った。泣いているのかという質問は否定し「涙は一番最後に流します」。福岡の先、日本シリーズを見据えた。
超積極的なベンチワークに、逆転勝利のポイントがあった。8回だ。2死二塁、打者栗山巧外野手(27)。投手を薮田安彦(37)から吉見祐治(32)に交代した。栗山は今季の対右が3割1分9厘、対左は2割9分6厘と、左を苦にしない左打者。一塁が空いており、敬遠して2番阿部真宏内野手(32)と勝負もある場面。西村監督の選択は「左なら左で勝負」とシンプルだった。吉見は「栗山が左に強いのは分かっている」と、迷いなく真っ向勝負に出た。結果は左前打ながら、大松尚逸外野手(28)の好返球と里崎の好ブロックで二塁走者の佐藤友亮外野手(32)を本塁憤死させた。打たれたからには結果は失敗。それでも、勝負には勝った。何より「引き分けでは意味がない。勝利あるのみ」という強い姿勢を鮮明にする采配だった。
延長10回もそう。敬遠で1死一、二塁にして、6番手・内竜也投手(25)を投入。9日、初のCS出場で3失点したばかり。求めるのは併殺打。「低めの変化球を投げる投手」という条件で、内を選んだ。内は「やられたら、やり返すですよ。期待に応えようと思った」。意気に感じて投じたスライダーで、遊併に仕留めた。この時の内外野の前進守備も“やぶれかぶれ”ともとれる前のめりな姿勢を前面に出していた。直後の延長11回、ロッテが同じく敬遠で1死一、二塁の好機をモノにしたのと、あまりに対照的だった。
積極的だけではない。レギュラーシーズン最終戦では、不調の小林宏(32)を守護神から降格させる鬼采配も披露。小林宏は「プロとして、すごく悔しかった。チャンスをもらったときに自分で打開しないといけない」と、心技体を復調させ、2試合連続無失点に抑えた。
前向き、厳しさの理由を、西村監督は「何がベストかを選択する中で、監督の私が消極的な姿勢を見せたら、選手はついて来られない」と言う。この日、連日のヒーローの里崎も「(背筋痛の回復が)まだ完全な状態ではない」と先発から外している。あくまでチームの勝利のため、一見厳しい対応が、選手のモチベーションを高め、前を向いて戦う集団にしている。求めてつかんだ77度目の勝利が、今季のスローガンの「和」を育てた。【金子航】
[2010年10月11日9時41分
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