開幕1軍まで、あと6センチ!?

 ソフトバンクのドラフト2位柳田悠岐(22=広島経大)がキャンプ休日の4日、首脳陣から柔軟性アップの珍指令を受けていたことを明かした。新人ではただ1人、1軍キャンプに参加。強肩強打の評価は高いが課題は体の硬さ。立位体前屈はマイナス6センチで、当面は「つま先まで」が目標だ。開幕切符にグイッと手を伸ばす。

 右手にできた大きなマメがキャンプでの激闘ぶりを表している。オフのこの日は、同期の新人3人とともに宮崎市内のうなぎ処「鰻楽」を訪問し、うなぎのつかみ取りと炭火焼きを体験。生き物全般が苦手という柳田はおっかなびっくりうなぎをつかんだが「マメにしみるレベルがマックスでした」。独特のセンスで感想を話した。

 キャンプ初日から打撃と守備の両面で大きくアピールしている。初日のフリー打撃では8本の柵越えを放ち、秋山監督と王球団会長の目を向かせた。「本当はフルスイングばかりじゃなくて逆方向に飛ばす打撃もするんですけど、最初だしアピールしなきゃと思って」。とあえてフルスイングを続ける。「飛ばすねえ。体は大きいしいい振りをしているから投手にとっては怖い打者。今の選手の中では1番スイングが速いんじゃないの」。と秋山監督も感嘆する鋭い振りを見せた。

 そんな柳田の一番の悩みは体が硬いこと。メディカルチェックの測定では前屈がマイナス6センチを記録。手を伸ばしても地面にはるかに届かない規格外の硬さを披露してしまった。大学時代にはケガ予防などの意識は低く、プロになってようやく柔軟性の大切さに気づいた。

 「めちゃくちゃ柔らかくしてケガを防止しなければと思います」。

 井出外野守備走塁コーチから課されたキャンプの課題は「つま先を触れるぐらいになれ」。合宿所では朝風呂にストレッチで体をほぐしてきたが、キャンプ中も毎日風呂上がりにストレッチを欠かすことはない。「足が張っているのでストレッチするとすごく痛いんです」。そんな毎日の努力にもかかわらず、キャンプ中の測定値はマイナス6センチのまま変わらず。この日はさらなる柔軟度アップの願いを込めて?

 クネクネのうなぎをほおばっていた。6センチ先に開幕切符がぶら下がっていると思えば、グイッと手を伸ばすしかない。

 「自分ではまだまだだという気持ち。もっといいプレーができると思います」。

 強肩強打で新人離れしたプレーを見せる柳田だが、本領発揮はこれから。紅白戦が始まればもっとアピールのチャンスは増える。

 「実戦でオッと言わせるプレーがしたいです。これからが本当の勝負です」。

 大型ルーキーが開幕1軍どころか野手としては06年の松田以来の開幕スタメンも夢ではない。【前田泰子】

 [2011年2月5日11時9分

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