<楽天0-2西武>◇6日◇Kスタ宮城

 貯金をするのは簡単じゃない。クリネックススタジアム宮城に戻った楽天は田中将大投手(22)を先発に送り必勝を期した。3回1死に正捕手嶋がクロスプレーで負傷交代。捕手中谷に交代した直後、西武栗山に決勝2ランを打たれた。打線は相手先発のルーキー牧田を攻略できず完封負けを喫した。勝率は再び5割。一進一退の戦いが続く。

 「1球に泣く」という野球の枕詞(まくらことば)が、そのまま当てはまる田中の今季初黒星だった。3回2死二塁、西武栗山に打たれた2ランが決勝点になった。内角へのスライダーが沈みきらず、軸回転で110メートル先のスタンドまで放り込まれた。

 直前のクロスプレーで嶋が負傷。担架で運ばれた。中谷がマスクをかぶった直後だった。内角、内角、真ん中。テンポよく高低に投げ分けカウント1ボール2ストライクと追い込んだ。勝負球として選択したのは、インローへ落とし込むスライダーだった。栗山は変化球待ちでの直球対応が可能な、リーグ屈指の真っすぐキラー。第1打席も力ある外角149キロを左前に打ち返していた。田中の直球といえども勝負球として選択するのはリスクが伴う。球種は、スライダーもしくはスプリットの二者択一が無難だった。

 中谷は「選択肢としてスプリットもあったが、田中が自信のある球を、と思いスライダーを選んだ」と話した。投手の長所を最大限に引き出しリードする能力にたけたキャッチャーで、各球種が一級品である田中との相性は基本的にいい。スライダーを信頼し内角を要求した。一方で栗山は内角球のさばきも卓越しているため、高さのミスは即、命取りになる。加えてこの日は田中自身が「序盤は高かった」と認めているように、特にスライダーは失投の恐れがあった。持ち球の中では1回中村、2回坂田が空振り三振していた外角スプリットは精度が高かった。

 田中が「あそこのボールは…」と悔やんだ失投であり、配球は結果論になる。だが「失投で長打を食らうリスクを軽減するため」導入し、徹底して練習してきたスプリット、しかも外角が、「1点勝負と思っていた」投手戦では最有力の手ごまであることもまた事実。今後の教材となる1球になった。「先に点を取られてしまったのはいけない。もったいない。嶋さんが体を張って、相手の得点を防いでくれたのに」と田中。無言で引き揚げた星野監督と同様、悔しさをあらわにした。11年シーズン本拠地で初めて浴びた本塁打を糧とする。【宮下敬至】