<横浜3-2阪神>◇8日◇ハードオフ新潟
♪ふ・り・む・けばヨコハマ~なんて歌ってる場合じゃない。阪神久保田智之投手(30)が9回、吉村にサヨナラ弾を浴び、横浜にまさかの3タテをくらった。7日の小林宏に続きトリプルKの一角が悪夢…。5位に転落し、最下位横浜とは0・5ゲーム差。こんな危機的状況に光をともしたのがルーキー榎田大樹投手(24)だ。150キロの剛球がEねえ。新8回の男、任せたで!
サヨナラ負けの衝撃は痛い。だが新潟にうれしい衝撃もあった。吹き荒れる強風に勝るとも劣らない勢い。電光掲示板に自己最速の「150キロ」が躍る。ルーキー榎田は猛スピードで進化していた。
榎田
この球場は(スピード表示が)速い設定になっているんじゃないですか。腕がしっかり振れているのは良いことです。ただ、ボールが高かった。ストライクとボールの投げ分けをしっかりして行かないと。
あくまで謙虚に振り返るが、登板状況が信頼の証しだ。2-2の同点に追いついた直後の8回。絶対に失点が許されない場面でマウンドを任された。先頭は2番渡辺。2ボール2ストライクからの内角低め直球はファウルとなり、149キロと表示される。140キロ後半を続け、最後は内角カットボールで右飛に抑えた。
3番スレッジでさらに加速した。初球。外角低めのボール球は150キロ!
追い込んで最後も外角150キロ直球で空振り三振に斬った。4番村田も143キロ直球で中飛に仕留め、1イニングを完全投球。多彩な球種を誇るが、この日の全18球は本格派そのものだった。
仲間の思いも白球に込めている。福岡大卒業時、絆を忘れないように紺色のオリジナルTシャツを作成した。硬式野球部の同期12人でそれぞれ1枚ずつ、自分の名前と大学名が入ったモノを作った。「寮には私物はほとんど持ち込んでいないんですけど、あのTシャツは持ってきました」。プロ入り後も手放さず、寮で大切に着用し続ける。みんなの分まで-。熱い気持ちが快速球を後押しする。
2日前の6日、西武ドラフト2位のサブマリン牧田(日本通運)が楽天戦で今季の新人完封一番乗りを果たした。同じ社会人出身で「牧田さんはすごい。絶対にプロで活躍される」と尊敬する先輩の活躍が、励みにならないはずがない。
榎田
8回同点で投げさせてもらっている。しっかりやっていきたい。
昨秋、菊地東日本統括スカウトは「技巧派じゃなく本格派」と評した。恩人の言葉を裏切らない投球だ。小林宏が安定感を欠き、この日は久保田がサヨナラ被弾。ルーキー左腕が「新8回の男」に浮上する可能性もゼロではない。22試合を消化し、早くも9試合に登板。防御率0・90は資格十分の数字だ。【佐井陽介】



