<ロッテ1-1楽天>◇13日◇QVCマリン

 楽天先発の田中将大投手(22)は10回を投げ被安打4、1失点という内容で、ロッテ成瀬と緊張感あふれる投手戦を展開した。1週前の西武戦で栗山に決勝2ランされた内角スライダーを反省。「高さのミスはダメです」と、中6日の間に強く心に誓っていた。6回までに許した走者は失策の1人だけ。カウント球、勝負球とスライダーを自在に落とし込み、記録の予感を漂わせた。

 その直後、7回だ。ロッテ上位打線に3連打され、1点をもぎ取られた。1死から荻野貴、井口、金泰均。1死二塁で井口に右前打を許したが、鉄平の好返球と嶋の堅守で封じた。直後の初球。4番を打つ外国人に対し、144キロのつり球を外しきれず、真ん中高めに入った。

 9回1死から山崎が本塁打。「1度死んだ身。9、10回は絶対抑えよう」と、ギアを上げただけに惜しかった。ラッキーセブンに何があったのか。下半身を大きく、ゆったりと使い、最大限の力をボールに伝える投球フォームを猛練習してきた。左足を上げ、ゆるやかな回旋動作を入れ、優しく傾斜に着地する。この一連の動作に微妙なズレが生じていた。ある数字が、田中のほんのわずかの変調を物語っていた。左足の動き始め→着地までの平均タイム。初回は1秒59で、7回、中前打の荻野貴に対しては1秒42だった。逆球が少しずつ見え隠れした6回から、平均で0秒1ほど早くなっていた。

 1点勝負、外国人相手の終盤、初球という、最も入りに気を配らなくてはならない場面。5回まで2ボールの打者が1人だけという制球力が、わずかの投げ急ぎで狂う。緊迫した空気がそうさせるのか。スタミナが無意識のうちに落ちていたのか。力みか。田中は「もっと高くと思ったが、気持ち下がってしまった。情けない。自分が許せない」と話した。星野監督は「しっかりボール球を投げないと。リードの問題だ」と話した。【宮下敬至】