<ソフトバンク7-3西武>◇13日◇福岡ヤフードーム
ソフトバンクの4年目右腕、岩崎翔投手(21)が、涙のプロ初勝利だ。西武戦で6回3安打2失点。過去にも勝利投手の権利を持ったまま交代するなど「もってない男」だったが、10度目の先発登板で初白星。07年高校生ドラフト1巡目に、ついに勝利の女神がほほえみ、チームは貯金を今季最多7に戻した。
岩崎翔が羽ばたいた。先発登板10度目。ついにお立ち台に上がる日が来た。声が震えた。涙があふれた。やっと、勝った。
「仲間の野手に助けてもらって。3年間勝てなかった…。うれしい…」。
運も初白星も、自分でたぐり寄せた。6回を投げて3安打2失点。安打数以上に会心の打球を飛ばされたが、ことごとく、野手の正面を突いた。今季初登板だった4月17日西武戦で勝利投手の権利を持ったまま、6回途中交代。その後チームは追いつかれ、初勝利はお預けとなっていた。この日は逆転された6回の直後、打線が奮起。「持ってない男」から「持っている男」に変身してのプロ初勝利だ。
勝利の女神がほほえんだのは、成長があるからだ。これまでのウイークポイントは、変化球で腕の振りがにぶることだった。この日はボールになっても、怖がらなかった。対戦した25打者のうち、14打者が初球ボール。四球は4つも与えた。それでも、粘った。「とにかく腕を振ろうと思った。だから、いい当たりも野手の正面に飛んだ」と振り返った。
精神と技術の両面で成長を遂げている。3回中島には内角直球で空振り三振を奪った。「気持ちで負けないようにした」。6回中村には結局四球を許したが、13球を投げ込むなど気持ちは逃げていなかった。6回2死三塁で浅村を遊ゴロに打ち取った球は、昨年10月のウインターリーグ期間中にマスターしたツーシーム。逆転されても、最少点差で踏みとどまった。
球団にとっても、首脳陣にとっても、待望の白星だった。市船橋高2年まで横手投げ。上手投げに転身した3年夏。千葉大会にホークスのスカウトが訪れると、球速は137キロ。だが、大会中に一気に151キロまで到達。ロッテ唐川、ヤクルト由規を指名せず、ソフトバンクは将来性を買って岩崎を1位とした。
力を伸ばすきっかけを与えたのは、秋山監督だった。09年3月4日のオープン戦(対楽天)で炎上し、2軍落ち。関係者を通じ、1枚のDVDを送った。斉藤現リハビリコーチの全盛期の映像がつまっていた。
うれし涙を拭った岩崎が、力強くヒーローインタビューを締めくくった。
「いずれはホークスのエースと呼ばれる投手になりたい」。
杉内、和田、摂津、ホールトン、山田の強力先発陣に、将来のエース候補がついに戦力として加わった。【松井周治】



