広島前田健太投手(23)が得意の交流戦で心機一転する。セ・パ交流戦は今日17日、ソフトバンク戦(福岡ヤフー)で開幕。今季、前田健はここまで6戦2勝2敗だが、防御率4・58と不調が続く。昨季交流戦は3勝。防御率1・05は12球団1位だった。16日の練習後「新鮮な気持ちで投げられる。ゼロで抑えたい」と話したように、好投で気分一新したいところだ。

 胸中を覆い尽くす「モヤモヤ感」を振り払えるのは前田健自身の右腕だけだ。昨季、球界を席巻した沢村賞投手が今年は苦しい投球を続けている。38被安打、6被本塁打はリーグワースト。同15位の防御率4・58が苦悩ぶりを物語る。しかし、誤算の同一リーグ戦はしばし小休止。交流戦開幕が大黒柱の気分を変える。

 前田健

 球場も新鮮ですし、相手チームも変な情報がない。新鮮な気持ちで投げられるのは間違いない。いい打者は多いですが打たれている印象はないです。

 今日17日のソフトバンク戦から始まる約1カ月の交流戦は、前田健にとって大歓迎だ。昨季は5戦で負けなしの3勝。何より、防御率1・05は日本ハム・ダルビッシュをしのいで堂々の12球団トップだった。5月15日には本拠地でダルビッシュと投げ合ってシーズン初完封勝利。大きな自信をつけた。過去3年間トータルでも13試合で7勝1敗と抜群の好相性。序盤戦の悪夢を振り払うためにも、気分一新を図る。

 今年はまだ昨季のような球威が影を潜める。課題の1つが投球フォームだ。フィニッシュ時に体が一塁側に流れたこともある。大野投手チーフコーチも「左膝が割れている。体が突っ込んだようになって、左足に腰が乗っていかない」と指摘。下半身の体重移動に力強さが戻らず、球の切れを欠く一因になっていた。前日15日巨人戦(マツダ)でも坂本に被弾するなど、今季最短の5回4失点で降板。汚名返上に燃える。

 前田健

 (大切なのは)内容ですよね。今年はまだゼロという試合がない。とにかく1回でも8、9イニングをゼロでいけば、変わると思うんです。

 この日は本拠地の外野フェンス沿いをゆっくり走ってリラックス。自身の登板は21日オリックス戦か22日ロッテ戦が有力だ。出番は先だが、静かに闘志を高ぶらせた。チームは2位と好調で初めて貯金状態で交流戦に入る。さらに勢いづくためにも背番号18の快投は欠かせない。開幕前にはペンで「完璧エース」と抱負を書き、健闘を誓った。試練を乗り越えた先には必ずや、新たなステージが待っている。【酒井俊作】