<広島1-9日本ハム>◇18日◇マツダスタジアム

 どや、オカン!

 日本ハム中田翔内野手(22)が故郷で大爆発した。広島戦(マツダスタジアム)で、1回2死満塁の好機にまずは先制の2点適時二塁打。その勢いは止まらず、7回に8号ソロ、8回にも今季初の1試合2発となる9号特大2ランを放った。母香織さん(47)の見守る中で5打数4安打、プロ入り最多の1試合5打点を記録し、チームの大勝に貢献。小谷野の復帰で打順は6番に下がったが、その脅威は変わらなかった。

 生まれ故郷・広島でのヒーローインタビューに、中田は充実感たっぷりに答えた。「小さいころから応援してくれている方々が来ていたので、活躍できてすごくうれしい。元気に、楽しそうにプレーしている姿を見せたいと思っていました」。母香織さんら親族などが駆けつけたスタンドからは、あたたかい声援が降り注いだ。

 子どものころはスタンドの側にいた中田少年は、敵の主砲となり、真っ赤に染まった客席を、黙らせ、脱帽させた。すでに7回に左翼へ凱旋(がいせん)アーチを放って迎えた、8回1死二塁の好機。1ボール1ストライクから、広島永川勝の146キロ直球を、しばき上げた。誰もが2打席連発弾だと確信する会心打。走りだすと同時に右手でガッツポーズをつくり、こらえ切れずに笑みがこぼれた。直後、左翼席後方のコンコースにある防球ネットが、白球をのみ込んでフワリと揺れた。「気持ち良かった。完璧でした。(凱旋が)ホームランという形になって、興奮状態でした」と自画自賛で振り返った。

 1回には“大好物”をたいらげていた。2死満塁の先制機に「何とかしなきゃ」と左翼線へ2点適時二塁打。満塁は今季、5度打席に立って4打数4安打10打点のパーフェクト。5回の左前打と合わせて、今季初の4安打固め打ちだ。

 前夜17日は、久しぶりに実家へ戻ってリラックスした時間を過ごした。実はわが家でも、全国を探し求めても発見できなかった“大好物”を堪能していた。牛の前足脇辺りの肉で、1頭の牛から少量しか取れない希少部位の「コウネ」がそれ。広島市内では一般的に出回っている品で、成長期から爆発的パワーを生み出す源であったが、プロ入り後は口にすることが出来ずにいた。「札幌でも大阪でも神戸でも、どこに行ってもないんですよ。いろいろ探しているんですけど…。食べたいなぁ」と待ち望んでいた。母の気遣いで、焼き肉店を歩き回っても出会えなかった懐かしの味に、舌鼓を打つことができた。胸の奥に、力が宿った。

 小谷野の復帰で、打順は16試合務めた4番から、6番に下がった。試合前、梨田監督から打順を告げられると、少し不服そうな顔をした。「じゃあ(安打を)2本打ってみろ」と冗談交じりにハッパをかけられていた。「僕の中で4番は小谷野さん。しっくり来るなぁと改めて思いました。(6番は)落ち着く。前にすごい打者がいますし、自分は自分の打撃を思い切ってできる」と満足そうに言った。

 下位打線に控える「隠れ4番」が、相手バッテリーに与える恐怖はハンパじゃない。【本間翼】