<阪神1-2楽天>◇18日◇甲子園

 雨の甲子園で、楽天星野仙一監督(64)が「水を得た魚」と化した。中日監督時代以来、10年ぶりに聖地で阪神相手に指揮を執った。球場に着くやベンチに向かい、空、風向、内野の黒土に敷かれたままの巨大シートを確認した。「浜風は晴れだが、“べたなぎ”は珍しいぞ。ここはAMeDAS(地域気象観測システム)を持っている。これから雨が降ってくる。ピッチャーは大変だが、開始を遅らせたり中断があったり、だな。何でも来いや」と、経験則に基づき推理した。

 推理をもとにプランを立てた。「天気は関係ないが先制が大事。早め、早めに仕掛けていかないと」。初回、松井稼の2ランで主導権奪取に成功。3回、7時4分から56分間中断した。1点差に迫られると4回1死に先発川井を諦め、小山-有銘と刻む継投だった。経験豊富な「オーバー30」が投打に働き、1点リードで試合成立。6回の攻撃を終えると計ったように本降りとなり逃げ切った。

 渋いリレーが決まった裏に、星野監督の渋い心配りがあった。14日の広島入り後、この日登板した3投手と食事に出掛けた。「あの焼き肉で気合入りました」とは3勝目の小山で、「叱られるかと思ったんですが楽しかった。コントロール悪い3人がそろったなぁ、って和ませてくれた。気を使っていただいて申し訳ないです」。この3人で1失点は偶然でなかった。

 頼りない楽天を強くすることに奔走する日々。「勝つことは大事だが、一喜一憂はダメ。何も残らない。本物の強さには10年単位で継続性がある。目指さなくては」と借金返済より先を見る。勝利後も歩を進めながら語気を強めた。「5回の四球、取れるはずの併殺を取れないプレー。見逃してはならん。チームがよくならん」。勝って叱られた小山も「先頭の四球がダメ。ゲッツーを取ることが大事」と重ねた。指揮官と同じ目線の選手が1人でも増えれば、勝負欲あふれる集団に変わる。【宮下敬至】