<阪神7-0楽天>◇19日◇甲子園

 阪神鳥谷敬内野手(29)が、虎党のモヤモヤを吹き飛ばした。6回に117打席ぶりの2号2ランを放つなど、3安打3打点。4試合ぶりの2ケタ安打を導き、ダイナマイト打線復活を印象づけた。苦しみ抜いた交流戦は10勝14敗の8位で終了。24日巨人戦からリーグ戦が再開となるが、この勢いで7つの借金をまとめて返しまっせ!

 一本締めならぬ、1発締め。もう、モヤモヤ感とはおさらばだ。選手会長鳥谷が残した快音が、虎党の胸をスーッとさせる。曇り空に打ち上げられた打球を、黄色く染まった右翼席が笑顔で受け止めた。

 鳥谷

 あれはおまけみたいなもんです。2打席目にノーアウト二塁で走者を送れなかったんでね。

 交流戦最終戦。前夜の楽天戦は6回途中で降雨コールド負けを喫していた。初回は一塁強襲安打も、3回無死二塁で見逃し三振。猛省と同時に鬱憤(うっぷん)がたまっていた。まずは2点リードの4回2死一、三塁、永井の144キロ内角直球を右翼線にはじき返し、弾丸ライナーの二塁打で3点目をたたき出した。

 そして、仕上げは6回2死一塁。ヒメネスの初球、147キロ内角直球をライナーで右翼ポール際席に突き刺した。5月3日巨人戦以来、自身117打席ぶりの2号2ラン。チームも甲子園で5月24日西武戦の新井以来、10試合ぶりの本塁打だ。「甲子園で1本出て良かった」。5点リードを7点に広げ、試合を決めた。

 言い訳しない男だ。5月15日中日戦の1回表、遊ゴロをさばいた際に右手人さし指を負傷。8試合も遊撃先発から外れるほどの重傷だった。イレギュラーバウンドで指を突き、一塁送球したことで爪がはがれかけた、いわば不慮の事故。誰もがイレギュラーを確信していたが、本人だけは「違う」と言い張る。

 鳥谷

 自分が下手なだけ。あれはイレギュラーじゃない。投げる前から患部は裂けていた。“やってしまった”と思ったけど、無我夢中で投げていて。

 負傷直後はシャワーの際、患部をビニール袋で覆った。治療法は自然治癒を待つのみ。イライラが募ってもおかしくない状況、あえて笑顔で大声を出した。「落ち込んでも戻ってこない。声出しとか、できることをやらないといけない」。その陰で、少しでも強い送球を可能にする足の運びも研究。負傷明けの不調も、ケガの影響だけは否定した。厳しく自分を追い込むからこそ、必ず復調できる。

 日本ハム・ダルビッシュとの対戦を控えた15日、こう話した。「自分は力で抑え込んでくる投手とやるのが楽しみなタイプ」。この日は言葉通り、内角147キロを本塁打。27試合ぶりの猛打賞で交流戦快勝締めを導いた。10勝14敗と苦しんだ交流戦は終わり、3位巨人に1・5ゲーム差の4位。選手会長の1発は、逆襲の号砲だ。【佐井陽介】