<阪神7-0楽天>◇19日◇甲子園

 開き直っていた。4回。阪神の4番、新井貴浩内野手(34)がようやくチャンスで快音を響かせた。2死二、三塁から永井のフォークをたたき、三遊間を破った。2者が生還して5-0。不満をため込んでいた虎党も大喝采。「ナイスゲームですね」。会心の笑顔で振り返った。

 1打席目は2死一塁で、2打席目は1死二塁でともに力ない凡飛に倒れた。前日も2度のチャンスで打てず、後手を踏んだ影響で6回降雨コールド負け。「うーん…悔しいな」と話した。期待に応えられないふがいなさをパワーに変えた。

 3打席目は好球を逃さず狙いにいく積極性があった。打てない重圧や、ジワジワのしかかる責任感を振り払ったような強いスイング。「説明しにくい。感覚的なものなんだけどね」と、納得の一打だった。

 交流戦序盤には疲れた体にムチを打って、あえて試合前に走り込みを行った。長い1年を戦い抜くための体力の「貯金」をつくるためだ。伊藤トレーニングコーチは「新井は回遊魚。止まると死んじゃうから」と冗談めかすが、休むのではなく人一倍の練習量でスタミナを増強。144試合、4番の務めを果たすための準備を進めている。

 交流戦が終わり、開幕からちょうど50試合を消化した。「節目じゃない。振り返るには早すぎる。トータルだから。少し日にちが空くから、しっかり準備してやっていきたいね」。まだ先は長い。回遊魚はガンガン泳ぎまくって、実りの秋へ脂を蓄える。【柏原誠】