<横浜9-12阪神>◇17日◇横浜
やはり1番の居心地がいいようだ。阪神マット・マートン外野手(29)は暫定4番から定位置の1番に戻って2試合目。前夜に続く3安打にとどまらず、今季2度目の4安打で再逆転勝利を演出した。今季通算95安打。打率は3割2分4厘に押し上げ、ついに首位打者に!
マートンの快音とともに虎の進撃が続く。
1歩1歩、長~いハシゴを駆け上がった。気がつくと、セ界の頂上までたどり着いていた。もちろん、景色を見渡しはしない。今度は自ら、空に向かってハシゴを架けていくだけだ。
打ち出したら止まらない。昨季何度も目にした光景が戻ってきた。3回は先頭で左前打。3点リードの4回1死満塁では1ボール2ストライクからの6球目、三浦の外角低めフォークに食らいついた。体を崩されながらライナーを左前へ。「ヒットでランナーをかえすことだけを考えていたよ」。貴重な2点適時打を放ち勢いを加速させた。
3点差に迫られた6回2死からは右前打。6点差を逆転され、再逆転に成功した1点リードの8回1死では中前打を放ち、4番新井の満塁弾を導いた。6月8日ロッテ戦(QVCマリン)以来、今季2度目の4安打。乱打戦勝利を巧みに演出し、連続試合安打を6に伸ばした。そして打率は3割2分4厘まで上昇。ヤクルト青木(3割1分6厘)、巨人長野(3割1分4厘)を置き去りにし、今季初めて首位打者に躍り出た。
子供のころはケン・グリフィーJr(元マリナーズ)がヒーローだった。メジャー歴代5位の通算630本塁打を記録したスラッガー。「彼はスーパースターだったから。僕も大好きだったよ。打つだけじゃなく、守備も素晴らしく、肩も強かった」。地元ジョージア州アトランタではブレーブス戦のテレビ中継をチェックするうちに、走攻守そろったスイッチヒッター、チッパー・ジョーンズがお気に入りになったという。華やかで完璧な選手が目標。決して現状に満足しない。
昨季は日本新記録のシーズン214安打を達成も、打率3割4分9厘はリーグ3位にとどまった。今季は現時点で安打数(95)打率ともにリーグトップ。ただ、シーズン途中で個人成績に触れてほしくはなさそうだ。
マートン
大きな1勝だったと思うよ。とにかくチームが勝てばそれで良い。
今季両リーグ最長4時間16分の激闘を終えた直後。少しお疲れ気味で移動バスへ向かう駐車場を歩きながら、ただただ勝利の安堵(あんど)感に浸った。すべては勝利をつかむために。さらなる高みへ、新たな境地へ。マートンは黙々と、ハシゴを上り続ける。【佐井陽介】



