<ヤクルト5-1横浜>◇16日◇神宮

 外角ボールゾーンに逃げたスライダーに、ヤクルトの巨漢畠山和洋内野手(28)が両腕をめいっぱい伸ばした。同点に追い付いた直後の5回2死一、二塁。“悪球打ち”でしぶとく中前に運ぶ。「ラッキーでした。当てるのが精いっぱいだった」と豪快に笑った。4回の同点打に続き、貴重な2打点。派手な1発ではなくても、4番としてチームを勝利に導いた。

 これで最近5試合で9打点。「あぶさん流」トレで復活した。2日からの名古屋、大阪、広島遠征は5連敗を含む2勝6敗1分けに終わった。チームとともに、4番の調子もどん底だった。遠征中から初めて長さ約1メートル、重さ1キロを超える長尺マスコットバットをティー打撃で使った。

 漫画「あぶさん」の主人公は、物干しざおを振り込んで復調した。通常より10センチ以上長いバットを豪快に振り切って「そのあとに短いバットを振ると、しっかりと振れる」と汗をたっぷり流した。シーズン中盤から活躍した昨季は、93試合の出場に終わり、フルシーズン戦うのは今季が初。オールスターにも初出場し、神宮では連日の早出特打を行う。蓄積された疲労が、スイングスピードを鈍らせていた。

 決勝打は届かないはずの外角球を仕留めた。独自の練習で不調を脱し、打点はリーグ2位の55打点に伸ばした。「目標にしていることなので、1打点でも多く、貪欲に狙っていきたい」と話す。シーズン当初から、目標は100打点と掲げた。「チームにとって一番勝敗に関係してくる」。本塁打より、最もこだわりを持つ部門で、高卒11年目の初タイトルだって見えてきた。

 前回登板は、7回1失点と好投した石川を援護できなかった。「野手が助けていきたい」とモチベーションに変えた。エースが投げて、4番が打つ。漫画に出てきそうな理想的な形で、再び貯金を10に戻した。【前田祐輔】