両先発の立ち上がりからして、ロースコアは十分に予想された。となると、いかにして得点するかが焦点となる。では、そのための最短距離は「1発期待」「連打期待」ではなく、理詰めで考える必要がある。
無死三塁、1死三塁を作る。まず、そこからだ。楽天は5、6回と連続して無死一、二塁を作りながら、三塁に進められない。5回は8番太田に打たせて三振。6回は黒川がやはり三振で、村松は併殺打で好機を潰した。
特に6回は1点を追う場面で、ここは4番黒川だろうが、送って1死二、三塁という手はあったのではないか。交流戦打率2割2分2厘(5日終了時点)は12球団10位。現状を考えた時の作戦も、私はあったのではないかと強く感じた。
一方の阪神は5回1死二塁。走者熊谷が三盗に成功。この場面、見ていて早川の動きに一定のテンポ、リズムがあるように感じた。走者を見て、ホームを見て、投球動作という順番に法則性のようなものを見たからだ。
あるいは、熊谷もそこを2回の出塁時に確認していたのかもしれない。もしくは、2球目のチェンジアップの握りが見えていたのかもしれない。低めの変化球だけに、三盗のチャンスがあった。この熊谷の決断で試合は動き、待望の1死三塁から、立石の適時打で虎の子の1点を奪取した。
無死三塁、1死三塁になると、得点の可能性は一気に広がる。犠飛もあれば、内野手の守備位置によってはゴローゴーでの得点もありうる。暴投、捕逸も視野に入る。特に好投手攻略では大切な視点だ。この形を作ることがいかに大切か、この試合で両者の差が浮き彫りになった。
勝った阪神だが、森下の球審に対する暴言退場は良くない。私の持論だが、自分からアクションしての退場はダメだ。相手が向かってきて応戦しての退場は、戦いだけに何ら迷うことはない。判定に不満はあっても、この試合展開で自分が下がることのリスクがわかっていない。
森下には1発もある。まだ打席を残していた。この退場がもたらしたチームの攻撃力低下はもったいない。私の経験上、審判を敵に回していいことはひとつもない。森下も頭では理解しているだろう。それは常に忘れず、僅差(きんさ)の試合でも我を忘れることがないようにしてほしい。(日刊スポーツ評論家)




