<中日6-4広島>◇4日◇ナゴヤドーム
1差だ!
中日が逆転の3連勝で首位ヤクルトと1ゲーム差に肉薄した。1点を追う6回、和田の右前打で同点。続く平田良介外野手(23)が決勝の2点適時三塁打を放った。最大のヤマ場となる13連戦の初戦。今季限りの退任が決定している落合博満監督(57)が05年に熱望し、ドラフト1巡目で獲得した“秘蔵っ子”が、逆転の「退任V」への可能性を広げる、最高の形で滑り出しとなった。
力強く、大きなスイングだった。あの落合監督の目をくぎ付けにした平田のスイングだった。1点を追う6回、和田の適時打で同点として、なお一、二塁。平田は広島バリントンの初球を振り抜いた。右中間を切り裂いた打球は外野手2人を置き去りにし、あっという間にフェンスに到達した。今季初の4試合連続打点となる決勝の2点タイムリー三塁打。試合後、お立ち台では興奮気味に叫んだ。
「ドラゴンズは2位を狙っているわけではありません!
全部勝って、リーグ優勝して、CSに臨みたいと思っています!」
今季限りでの退任が決定している落合監督へ、最高の花道は逆転での連覇。その可能性をグッと広げたのが平田というのは不思議な因縁だった。05年夏、テレビを見ていた落合監督は甲子園を沸かせる1人の高校球児に目を留めた。大阪桐蔭・平田良介。本塁打を放ったからではない。決して体の大きくないその球児だが、スイングだけは異常に大きく見えたからだ。
「スイングが大きいだろう。高校生であれだけ振れるやつはなかなかいない。それに右方向に大きいのを打てるやつは伸びる」
当時、スカウトは履正社・岡田(現オリックス)の1巡目指名を推薦したが、自ら熱望して1巡目指名した。素質を認めた金の卵。ただ、それを谷底に突き落とし、はい上がってきた者だけを使うのがオレ流だ。5年間、独特の打撃フォームを試行錯誤した平田は今季、ついに「自分の形」を手にした。この日のグラウンドにいたのは、あの日、テレビに映っていた高校球児より、ずっとたくましくなったプロの打者だった。
「相変わらず、動きはいいよ。このままでいいと思う」。落合監督は最近の例に漏れず、ひと言で会見を切り上げた。敗れた首位ヤクルトとはついに1ゲーム差となった。「ヤクルトは五分五分でいいけど、僕たちは負けられない。チームには短期決戦に似た雰囲気があります」。平田は今のロッカールームのムードをこう表現した。残り15試合、1戦必勝の戦闘態勢。その目は本気で全勝を狙っていた。【鈴木忠平】



