<阪神9-3ヤクルト>◇4日◇京セラドーム大阪

 見捨てないで~。逆転CS進出へ運命の13連戦に突入した阪神が首位ヤクルトに大勝だ。先発復帰した8番藤井彰人捕手(35)が猛打賞&移籍後初の3打点。おっとこ前が窮地の虎を救った。京セラドーム大阪の観衆は秋風吹く1万8030人…。05年の実数発表以降、同球場での阪神主催試合ではワースト記録。もう、熱い戦いで勝ちまくるしかない!

 男前!

 男前!

 ヒーロー藤井彰を呼ぶ声が一部から上がる。だがコールの輪がそれ以上広がらない。スタンドを見渡せばその理由も分かる。ヒーローは、勝った試合とは思えぬほど神妙な表情で語り出した。

 「今いる4位という状況は、ファンの皆さんの期待を裏切っている。捕手として責任を感じています。今日のようにスタンドに空席が目立っているのも、そこ(成績不振)がつながってきていると思う」

 観衆1万8030人。今季の主催試合で最低だ。さらに京セラドーム大阪での阪神主催試合(実数発表に変更後)のワーストも更新した。「人気球団」を容赦なく襲った不名誉な数字とショッキングな光景…。

 これを見せられて燃えない男は、プロを名乗る資格はない。甲子園の半分にも満たない観衆に向け「ネバーギブアップ」の姿勢を誇示するように大量9得点を連ねた。6連敗中と散々煮え湯を飲まされてきた首位ヤクルトを、これでもかとひねりつぶした。

 藤井彰にとっては特別な試合だった。悪夢から6日。やっと巡ってきたリベンジの舞台だ。1点先制された直後の2回1死一、二塁。石川の初球、127キロをおっつけて右前に運び、同点の走者を迎え入れた。

 9月28日のヤクルト戦(神宮)。痛恨の落球を犯し、2点の先制点を与えた。あのときも秋山をリードしていた。今季初先発だった20歳の足を引っ張った。翌日から4試合連続で先発マスクを小宮山に譲った。

 「神宮では自分のミスで若い投手に申し訳ないことをした。何とかしたいと思っていた」

 ため込んだ悔しさを力に変えた。守備でも名誉挽回した。初回1死一塁で福地の二盗をストライク送球で刺した。秋山は3回途中で降板したが「早い回のKOは残念だったけど、何とか勝ち星をという気持ちだった」。マスク越しのショックは引きずらず、ただ勝つために神経を削った。

 5回1死満塁では中前に2点適時打。リードを5点に広げる一打でダメを押した。1試合3安打は今季2度目だが、同3打点は楽天時代の09年以来。「チームやファンに迷惑をかけていたので」と少しホッとした表情を見せた。

 この1勝は意地の結晶だ。自力でのCS進出が消滅する可能性もあったが、追う3位巨人が敗れたため4・5ゲーム差。しかし、もはや1勝ごとに喜んでいるような状況ではない。藤井彰はこう結んだ。「もっと男前になれるように頑張ります。できることを全力で一生懸命やる。それだけを心に決めている」。一心不乱に突き進んだ先に、光が見えると信じている。【柏原誠】