<阪神9-3ヤクルト>◇4日◇京セラドーム大阪
寂しいスタンドに、熱い思いをぶち込んだ。どちらに転ぶか分からない展開で迎えた4回、阪神クレイグ・ブラゼル内野手(31)が左中間へ勝利を呼び込むアーチをかけた。打線に火を付け、14安打9得点の大勝を呼ぶ12号決勝弾だ。虎通算75号はソロムコ、オマリーを抜き、助っ人では単独6位に浮上。まだまだ、上積み期待してます。
1年前のブラゼルを思い出す弾道だ。空席が目立つ京セラドーム大阪を沸かせた。同点の4回、先頭でヤクルト石川と対した。1ボールからの2球目、外角高めのスライダーを逆らわずにミートすると、打球はライナーで左翼3階席にズドン。12号ソロは決勝弾。自身の虎通算75号で一気に主導権を引き寄せた。
ブラゼル
あれは失投だった。来た球をしっかり打ち返すことだけを考えた。
昨季47発を放った男は苦しんでいる。飛ばない統一球を意識するあまり不振に陥った時期があった。8月23日巨人戦で右太もも裏を肉離れし、1カ月近く離脱した。もちろん、患部は今も完治していない。全力疾走は不可能に近い。それでもグラウンドに立ち続け、打率2割8分8厘は負傷前よりも高い。シーズン終盤、終戦間近に追い込まれた虎を救うため、気力で痛みをカバーしている。
ブラゼル
毎試合、毎試合、勝っていかないといけない状況。大事な時期だから、強い気持ちを持っている。もし今、選手全員が100%の状態だったら、おかしいだろ?
精神面でカバーして残り19試合、チーム一丸でやっていきたい。
記憶が体を動かす。メッツ時代のことだ。04年にメジャーデビューしたが、05年からの2年間はメジャーでプレーしていない。当時のチームメートで現楽天の松井稼頭央らとフロリダでリハビリに励んだのはつらい思い出だ。「チッパー・ジョーンズ(ブレーブス)のイレギュラーした打球を捕ろうとした時、左薬指を骨折してしまってね」。負傷離脱の悔しさは、今も忘れられない。大勢のファンに囲まれ、グラウンドに立つ喜びだけは忘れない。
この日の観客は1万8030人。チームの低迷も響き、阪神主催試合では異例の少なさとなった。
ブラゼル
地震(東日本大震災)の影響で後から設定された試合で、火曜日の夜でもある。だからだと考えたい。自分たちが良いプレーをすれば、ファンの皆さんは傍らに付いてきてくれると思っている。
そのフルスイングで、1発で、観客を呼び戻す。その先に大逆転CS進出が待っていると、ブラゼルは信じている。【佐井陽介】



