「鷹の寺原」が始動した。オリックスからFAでソフトバンク入りを表明している寺原隼人投手(29)が2日、故郷・宮崎で自主トレを開始した。今オフには引退した元同僚の城島健司氏(36=前阪神)と合う約束をしていると明かした。先輩からの“金言”に耳を傾け古巣復帰1年目にノルマとする2ケタ勝利を達成する。

 入団会見はまだだが、すっかりソフトバンクの一員のようだった。宮崎市内のジムで自主トレを開始した寺原は、古巣復帰1年目への意気込みを静かに語った。

 「僕はすぐ結果を残さないといけない。のんびりしてはいられない。FAで移籍するので、それなりに覚悟もある。活躍して、成績を残すことしか考えていない」

 オリックスからの残留要請を断って、移籍の道を選んだ。新天地での自分の立場は心得ていた。

 そんな中で先輩のエールが身に染みた。今季で引退した城島氏と先日、電話で話した。「向こうから連絡があった。(移籍を)決めたのかと言われました」。そして今オフに会うと約束。趣味の釣りをする予定だが、かつて長崎・佐世保の合同自主トレで“弟子入り”した間柄だけに、野球の助言を受ける機会もあるはず。かつてマリナーズ、阪神と2度の移籍初年度とも活躍した城島の話は、寺原の胸にも響くだろう。

 先発要員として期待される55勝右腕は来シーズンの目標も設定した。1年間先発ローテを守っての2ケタ勝利がノルマ。自己最多は07、11年の12勝だが「普通に超えたい。(チーム内)にライバルはたくさんいるけど、けがしなければ、いけると思う」とサラリ。さらに「負け数を減らしたい。これまで10勝した年も10敗だったりしたので、貯金を作りたい」と続けた。

 復帰にあたり、王貞治球団会長は「彼にはやり残した仕事がある」と辛口エールを送った。これに寺原もうなずく。福岡では5年間で16勝どまり。「会長の話は新聞で読みました。本当にやりのこしたことばかり。福岡でもいい姿を見せたい」。周囲の期待は、痛いほど感じている。

 自主トレには清原、小久保ら一流選手を支えた山尾伸一トレーナー(44)が同行。4季ぶりに専属契約を結んだ。「山尾さんとトレーニングしていた時が一番よかった。(投球中)軸がぶれないから、コントロールも良かった」。敏腕トレーナーとのタッグ再結成は、移籍1年目で結果を残すという決意の表れでもある。「前にホークスにいた時より成長していると思う。プレーで見せていきたい」。そう話す寺原の姿は頼もしかった。【大池和幸】