<オープン戦:阪神13-5中日>◇5日◇鳴門オロナミンC

 先発4番手以降が決まらない。守道竜が20安打を浴び、13失点の大敗。中でもローテ候補の5年目岩田が4回途中10失点KOの惨劇で、高木守道監督(71)は怒り心頭だ。現状でローテ確定は吉見、山本昌、山内の3人だけ。シーズン開幕が近づき、守道竜に暗雲が垂れこめた。

 20安打で13失点。若手主体の虎に惨敗した高木監督は、怒り心頭だった。「今日は全部、岩田に聞いて下さい。本人に聞いて」。先発で2回に3点を失った岩田は、4回も自身の失策で傷口を広げて8者連続ヒットを献上。若虎に、打撃投手のようにはじき返され、予定の4回すら投げ切れずに降板した。鳴門名物の渦潮に飲み込まれたような、14安打10失点の独り舞台。指揮官のため息は深かった。

 「もう3回目だよ。1回もらしさを見せとらん。威力で抑える投手じゃないのに全部ベルト付近ばかり」。昨季5勝の右腕に先発の一角を期待している。だが沖縄・北谷キャンプ中の韓国とのアジアSBを含め、3試合連続で精彩を欠く。岩田も「勘弁して下さい」と話すのがやっと。次回は2軍教育リーグで登板する見込みだが、降格とも言い切れないところに深刻な悩みがある。

 開幕まで約3週間となったが、先発4番手以降が決められない。ローテが確定的なのは吉見、山本昌、山内の3人だけ。まだ3人も足りない。ここまで中田賢や大野、伊藤らがピリっとせず。新外国人カブレラや川上は故障で開幕構想外。この日先発した岩田には何としても光を見せてほしかった。火の車の台所事情を考えれば、次回登板での復活を待つしかない。「今年は投手が心配」という監督の言葉は偽らざる本音だ。

 「これから2時間のドライブがあるんでね」。傷心の指揮官は試合後、バスで大阪に向かった。眼下に渦潮が見える鳴門海峡大橋、そして明石海峡大橋を渡る車中で思い巡らせたのは、今日6日に甲子園で同カードに先発する西川のことか。2月24日オリックス戦の4回1失点など、まずまずの内容。福留や西岡ら虎の主力が登場する一戦で輝けば、一筋の明るい光がさす。投壊危機で、2年目19歳右腕にかかる期待が大きくなった。【松井清員】