<オープン戦:広島0-4ソフトバンク>◇5日◇マツダスタジアム

 2年目もローテの柱として君臨する。広島野村祐輔投手(23)が5日、今季初登板で持ち前の安定感を発揮した。本拠地初戦となったソフトバンク戦で、3回2安打無失点と好投した。スローペース調整だったが、首脳陣の不安も払拭(ふっしょく)した。次回は10日DeNA戦(周南)で登板予定で、シーズンの初登板は開幕3戦目の31日巨人戦(東京ドーム)が有力だ。

 野村の胸は高鳴っていた。「いい緊張感の中で投げられました」。チームにとっても、今季初の本拠地ゲーム。マイペース調整を続けてきた2年目右腕にとっては、今季初の対外試合でのマウンドだった。

 成長の手応えを得たのは、3回、唯一のピンチとなった1死満塁の場面だった。今宮に対し1ボール2ストライクから「真ん中より内側を狙った」と、チェンジアップで空振り三振。松中には力勝負で遊飛に打ち取った。

 「試合の流れの中で、三振を取りたいところで取れた。大事なこと。決めに行って、力を入れたときに、狙ったところに投げられるようにしたい」

 優れた制球力に加え「剛」のイメージを植え付ける投球だった。3回2安打無失点。ここまで2度の紅白戦とは一変した内容に、山内投手コーチは「キャンプは基本的にゆっくりめだったので、少し安心しました」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 プロの“先輩”として威厳を見せつける形にもなった。2日前の3日には、同い年でライバルとなる巨人ドラフト1位菅野がソフトバンク戦で登板。4回で8安打4失点とプロの洗礼を浴びていた。同じ相手に、貫禄の投球にも「打線は打ったり打たなかったりするので、そこで比べられても…。シーズンに入ったら変わってきますよ」。球友をかばう優しさをみせた。

 “再戦”の舞台は整っている。野村の次回は10日DeNA戦で先発。中6日の調整を経て開幕カード3戦目の31日巨人戦に向かうことが有力だ。一方の菅野は現時点で2戦目の30日に登板予定。投げ合いこそニアミスになるが、前後してシーズンに登板するライバルに、新人王の底力を見せつける。【鎌田真一郎】