<巨人3-1ヤクルト>◇13日◇東京ドーム
球界最高峰の我慢比べを制した。巨人先発菅野智之投手(23)が、8回を投げ1失点で2勝目を挙げた。ヤクルトの先発はエース石川。コーナーを丹念に突き合う投手戦になった。菅野は先に点を与えず、先にマウンドを降りないという先発投手の役割を果たした。要所は三振で締め、計10個の三振を奪った。フィールディングを含めた総合力でも堂々と渡り合い、ルーキーらしからぬ投球でチームに貯金7をもたらした。
菅野が、これでもか!
と、言わんばかりの、しつこさを見せた。1点差で迎えた6回。味方の失策で先頭中村を走者に出した。無死二塁で打席の石川はバントの構え。「100%バントだと思ったので、思い切ってチャージをかけた」。高めの初球をバントさせ、投前の小飛球に猛ダッシュで突っ込む。執念のスライディングキャッチで食らいつき白球をグラブに収めた。最小点差の投手戦で相手に傾きかけた流れをビッグプレーで阻止した。
走者を二塁にとどめると、しつこさは、さらに際立った。1番ミレッジを遊ゴロに仕留め、続く川島へは内角の厳しいコースを攻めて死球。2死一、二塁からバレンティンへの初球も「僕はスライダー投手なので右打者の内角が使えないとワイドな投球ができない」と、再び内角を攻めた。相手の上体を起こして、決め球の外角いっぱいのカットボールで三振を奪った。
プロ12年目で通算116勝の石川との投げ合い。目の前の壁に体当たりで挑むスタイルは昔から変わらない。小学生のころ、伯父の原監督から「足が遅いといい投手にはなれないぞ」と言われ、歯を食いしばってダッシュを繰り返した。そのときから蓄えてきた脚力が、この日の勝負どころで光った。「体が硬い」「食が細い」という周囲からのアドバイスに対し、愚直に取り組んできて今がある。同監督が「とにかく努力する子」と目を細めるほどの積み重ねが、投球の軸になっている。
首位巨人の先発投手陣をけん引する堂々の2連勝。プロ初の2ケタ奪三振もマークし「とにかく先に点を取られないことを意識した。前回は打者の方に助けてもらっているので、今日はなんとか自分の投球をして勝利に貢献したかった」。好投手に投げ勝ち、納得した表情で振り返った。
順調に勝ち星を積み上げていく菅野を原監督も頼もしそうに見守った。「非常に精度が良かった。全て初めての中で何があっても前向き。素晴らしいです」と絶賛し、6回のバント処理のプレーについては「多少、私のDNAも入っている」と冗舌だった。
2週連続のお立ち台を独占したが「いいときは続かない。悪いときにいかに抑えられるか。だから反省を生かさなければいけない」と菅野。勝っても反省する姿勢を持ち続ける限り、大物ルーキーに死角は見当たらない。【為田聡史】




