<阪神11-3広島>◇4月30日◇甲子園
相手に傾きそうな流れを、メジャー帰りの阪神福留孝介外野手(36)が根こそぎ刈り取った。7点リードから3点を返された直後、6回1死満塁。新井貴の打球は二塁へ転がった。
「ああ~…」
併殺を覚悟したスタンドからため息が漏れた。だが、次の瞬間、一塁走者・福留は猛烈なスライディングを見せた。ぎりぎりまで加速し、送球しようとした遊撃・菊池の足元へ滑り込んだ。バランスを崩した菊池の送球はそれて、ファウルグラウンドを転々。その間に2者がホームを踏んだ。
「やっぱり、きょうはあれが大きいよ。目立たないかもしれないけど、大きなプレーだった。後ろの3人は連投しているんで、3人とも休ませることができてよかった」
和田監督もポイントに挙げた。試合を決めるだけでなく、連投が続いていたリリーフにも休息を与える、大きなプレーだった
俗に言う「併殺崩し」は米大リーガーの専売特許だった。日本でも、ど迫力のスライディングを披露するのは外国人ばかり。ただ、そこは5年間、米球界で戦ってきた福留だ。メジャー仕込みの“闘魂スライディング”で、とどめの2点をもぎ取った。
「難しいプレーじゃない。普通のプレーですよ」
試合後、福留は冷静に話した。走者として、全力を尽くしただけ。顔にはそう書いてあった。「熱くなれ!」。和田阪神のスローガンだ。感情を爆発させることも大事だろう。ただ、何食わぬ顔で、闘志を表現する方法もあるのだ。【鈴木忠平】



