<中日0-2西武>◇25日◇ナゴヤドーム
西武岸孝之投手(28)が“骨太エース”として、帰ってきた。今季は自身初の開幕投手を務めながら1勝4敗と不調で、5日には出場選手登録を抹消された。リフレッシュ調整をへて、復帰2戦目の先発登板で、昨年5月17日のDeNA戦以来の完封勝利で2勝目を飾った。
ボールに込めたのは気迫だった。9回2死、1発のあるクラークへの3球目、岸はこん身の直球を投げた。スコアボードに示されたのは、この日最速の144キロ。5球目も144キロの数字を刻んだ。110球を投げても、気迫の“ガソリン”は、満タンだったことを証明した。試合後のヒーローインタビューで「慎重に、慎重に(投げた)」と岸らしさをのぞかせた後、言葉に力を込めた。
岸
1球、1球、気持ちを込めて投げた。しっかり、チームが勝てるようにと思って。
今季は自身初の開幕投手を任されながら、開幕から1勝4敗。渡辺監督は「大勝ちできるボールを投げる」と投手としての能力は一流と認める一方で、勝負どころでの弱さを指摘した。今月4日の日本ハム戦で5回途中3失点でKOされた翌日、「しっかり自分を見つめ直して、体をつくり直して帰ってこいよ」と、再調整を伝えた。「今年は(岸を)中心にローテを組む」と託した男だけに、苦渋の決断だった。
渡辺監督の思いに、真摯(しんし)に向き合った。2軍降格後は3日間、ボールを握らず、ランニングやウエートトレーニングなど体幹強化のメニューを消化した。「ボールを3日も握らないなんて初めて」。太陽の下で、1軍昇格を目指す若手との練習は、原点と闘争心をよみがえらせた。
18日の巨人戦だった。同点の6回1死三塁、降板を言い渡され、マウンド上で鬼の形相を見せた。2番手の投手を待たず、ベンチに引き揚げかけた。杉本投手コーチから制止され、われに返った。クールな男にしては珍しい光景だった。杉本投手コーチは「それくらいの気持ちがなきゃ」と話したが、明らかな変化だった。この日、左足は張ったが、気迫で乗り切った。
渡辺監督は「しっかりと岸が自分を見つめ直して帰ってきてくれた」と認めた。それでも、試合後の会見、岸が語ったのは、開幕投手としての責任感だった。「まだまだ何もしていないので」。“骨太化”して帰ってきた開幕投手が、チームを再浮上させる。【久保賢吾】



