阪神和田豊監督(50)が悩める2番打者大和内野手(25)にマンツーマン指導を行った。30日、甲子園で行われた練習の途中だった。突然、指揮官が室内練習場へと向かった。ひと足先に向かっていたのは大和だった。ここから約1時間、2人がこもった室内からは打撃音が聞こえていた。

 「これからは大和がポイントになってくるし、塁に出る、出ないで相手投手の警戒心も変わってくる」

 練習を終えた和田監督は汗びっしょりだった。アドバイスだけでなく、打撃投手を務めていたと推測もできた。

 大和は25日の日本ハム戦で29打席ぶりの安打がサヨナラ勝利に結びつき、涙を流した。ただ、そこから再び14打席連続無安打。ついに29日楽天戦では代打を送られ、開幕からのフルイニング出場が途切れた。

 疲労があるのは明らかだ。現役時代、虎の2番打者としてレギュラーを張り続けた指揮官は今が正念場だととらえていた。

 「そこを乗り越えないといけないよね。疲れたらもう1回、鍛えて、こういうところを乗り越えていく精神力が求められてくる。長くレギュラー張るには数字を残さないと。疲れたら、ハイ、休みますは何年もレギュラー張っている選手だから」

 疲れた時こそ鍛えろ-。指揮官が体を張って伝えた激熱メッセージ。大和もバットを振り続けることで応えていた。【鈴木忠平】