<阪神2-3巨人>◇2日◇甲子園
手負いの巨人が、阪神との首位攻防第1戦を制した。主将の阿部慎之助捕手(34)が右脇腹を負傷し、4回守備から交代という緊急事態が発生。総力戦を余儀なくされたが、2番でスタメン出場した中井大介内野手(23)が、「一塁-二塁-一塁」と守備位置が変わる中で自身初の4安打をマーク。延長11回2死満塁から、立岡の決勝押し出しをお膳立てした。甲子園で今季初勝利を挙げ、2位阪神との差を3・5ゲームに広げた。
延長11回、4時間38分の戦いで持てるコマをつぎ込んだ。途中で扇の要である阿部が負傷交代。選手を次々に繰り出し、守備位置を目まぐるしく変えた。個の力を信じた。ベンチに残っていた野手は捕手の井野だけ。原監督は首位攻防3連戦の初戦を制し、「試合前からの心地いい緊張感の中でビハインドを追いついて勝ち越した。非常に良かった」と満足げだった。
ヒーローは格好良かった。中井は5回2死から中前打。次打者の坂本が右翼線へ幸運な二塁打を運び、生還した。甲子園で今季35イニング目でのチーム初得点を記録。7回2死では二塁手の頭を越え、右中間を破った。指揮官が「右方向へのすごいライナー。4番打者のよう」と絶賛した二塁打は、坂本の同点適時二塁打を呼んだ。延長11回2死二塁では4安打目となる左前打。立岡の決勝押し出し四球につなげた。「猛打賞もしたことがない」とプロ6年目で初の固め打ちに照れた。
ヒーローはちょっぴり格好悪かった。お立ち台ではファンから「もう遅刻するなよ~」と声が飛んだ。6月11日の全体練習に寝坊し、約1時間の遅刻。即2軍に降格となった。約2週間、反省の日々を過ごした。23日夜に電話が入った。「マネジャーから『広島に行くぞ』と言われて最初はトレードだと思った」。事態がのみ込めなかった。短期間で再昇格できるとは思っていなかったからだ。すぐに心に誓った。「落ちる前に少し打っていたけど、それはリセット。一から結果を出す」。決心した。
原監督は試合前にコーヒーを飲みながら冗談交じりに予言していた。「中井が打ったら『モーニングショット』で見出しはどうだ?」と人気コーヒーに掛けた。伝統の一戦で若き才能の目覚めを信じていた。
首位攻防戦。だが真の決戦はまだ先だ。原監督は甲子園に乗り込む前に言っていた。「100%の状態で全て手の内をというのは時期尚早。もっと強いチームができる可能性を秘めながら戦っていくのが大事」。大一番を戦える選手を掘り出しながら、勝利を積み重ねる。【広重竜太郎】



