<広島1-3阪神>◇5日◇マツダスタジアム
阪神に垂れ込めかけていた暗雲を連続アーチが振り払った。1点を先制された直後の2回、まずは新井貴浩内野手(36)が武内から同点ソロ。続く8年目今成亮太捕手(25)のプロ初アーチで勝ち越した。リードオフマン西岡が体調不良で欠場したが、見事にカバー。連敗を3で止めた。
新井貴は低め直球にバットを振り下ろし、弾丸ライナーを左中間席に直撃させた。2回1死、武内から左中間席へ同点ソロをたたき込んだ。「どんどんいこうと思っていた。うまくスイングできたね」。満面の笑みで三塁側ベンチ前に戻る。仲間と本塁打後のポーズを決めるはずが、呼吸が合わずに照れ笑い。わざと控えめに両手を空にかざした関本へ、パンチをかました。いつもと違ったのは、その輪に西岡がいなかったことだ。
巨人戦2連敗を含む3連敗中。追い打ちをかけるように、不動のリードオフマン西岡が体調不良のためスタメンを外れた。1回に先制点を奪われ、嫌なムードが漂い始める中、反撃の号砲を鳴らした。「点を取られた、すぐ後だったから良かった」と、6月8日ロッテ戦以来、14試合ぶりのアーチを振り返った。
新井貴と西岡。後輩から容赦なくいじられる姿に注目が集まるが、2人には強い絆がある。5月20日の西武戦(西武ドーム)、一塁手新井貴は二塁手西岡のやや右側への送球を後逸し、先制点を献上。まさかのミスが敗因となり、翌21日は失策が大きく報じられた。その日のQVCマリンで全体練習。西岡から「昨日は全部(責任を)かぶってもらって、すみませんでした」と神妙な表情で謝罪を受けた。「あれはオレが捕らないといけない」と驚いたという。「ツヨシはああみえて、すごく周りに気を使うヤツだから」。他球団からの移籍という同じ境遇なだけに、西岡が背負う独特のプレッシャーは理解できる。この日の1発は、後輩を救う1発でもあった。
水谷チーフ打撃コーチは「もうちょい早く出な。ええ打ち方ができている」と絶賛し、今後の爆発を予告した。首位巨人との4・5ゲーム差は変わらないが、連敗を3で止めた。「また明日」。どこまでも冷静な主砲が、チームを苦境から脱出させた。【佐井陽介】




