<ソフトバンク3-2オリックス>◇20日◇ヤフオクドーム

 ダブルの復活だ!

 右膝痛で離脱した寺原の代役としてソフトバンク新垣渚投手(33)がオリックス戦で1カ月半ぶりに先発。5回を2安打、ソロ本塁打2本による2失点と踏ん張り、昨年9月7日以来347日ぶりの復活勝利を挙げた。首位楽天が敗れたため、自力優勝の可能性もよみがえった。

 「新垣+復活勝利=お立ち台で号泣」の方程式を期待した人は少しがっかりしたかもしれない。夏休み終盤に渚スマイルが戻ってきた。ただ定番の涙はなし。「待たせすぎました。勝てなかったのは悔しかった。何1つ貢献できてなかったのが悔しかった。これから勝ち続けていきます!」。約1年ぶりのお立ち台で復活の雄たけびをあげた。

 ここまで今季3戦未勝利。チーム事情で巡ってきた1カ月半ぶりのマウンド。「チャンスをものにしたかった。いくら下(2軍)でいい結果を出そうが、上(1軍)で投げないと意味がない。もう若手でもない。実力が求められている」。本能的な飢えをぶつけた。

 「初回から飛ばしていくだけ」と148キロで幕開けし、1回2死から糸井に先制ソロ。わずか6球で失点したが、尾を引かない。3回。2四球が絡んだ2死一、三塁で、再び糸井だ。「外から入った分、ヒヤッとしたけど腕が振れていたので」。フルカウントからのスライダーで空振り三振で退けた。4回はバルディリスに力で左翼席へ運ばれたが、失点はソロ2本だけ。イニングは物足りないが、5回2安打2失点とまとめた。走者を出しては崩れる従来の新垣ではなかった。

 寺原が右膝痛、大場と岩崎が不調、パディーヤが右上腕の張りと、1週間で4投手が離脱する異常事態で、新垣は寺原の代役で昇格だった。昨秋、FA宣言した寺原の携帯電話を真っ先に鳴らしたのは新垣だった。「来たらこっちの出番が減るやん」と3学年下で仲良しの後輩をいじったが、「刺激になる」と競争を喜んでいた。今回の“入れ替え”に言葉を交わすことはなく、新垣は「あいつもけがをして悔しいと思う」とだけ言った。競争と結果の世界。自らの復活勝利をもってメッセージに代えた。

 05年に斉藤、和田、杉内と「先発4本柱」と呼ばれた古参。「同世代もいなくなる中、自分だけでも頑張れるよう意地を見せたい」。3週連続6連戦という大きなヤマ場の初戦でそのプライドをぶつけた。「試合はつくってくれた。いいんじゃない」と褒めた秋山監督は、自力V復活には「明日、明日」と不気味なほど泰然自若を通した。8月大反攻があるとすれば、この夜が最高のスタートではなかろうか。【押谷謙爾】

 ▼ソフトバンクの自力優勝の可能性が復活した。楽天は残りソフトバンク戦7試合に全敗し、他との対戦で全勝しても93勝50敗1分けで最終勝率6割5分。ソフトバンクが残り38試合に全勝すれば93勝50敗1分けで楽天と同率。この場合、アグリーメントによって「当該球団間の対戦勝率が高い順」により、楽天戦15勝9敗の計算となるソフトバンクの優勝となる。