<中日0-6広島>◇20日◇岐阜

 ここは、オレたちの庭だ!

 広島石原慶幸捕手(33)が、地元・岐阜で本塁打を含む4打数2安打2打点の大暴れを見せた。2回2死一、三塁で先制の右前適時打を放つと、5回は先頭で右翼ポール際に4号ソロをたたき込んだ。大学時代を岐阜で過ごした菊池涼介内野手(23)も、タイムリーを含む5打数3安打の猛打賞。“ホーム”の2人の力で、4位中日を1・5ゲーム差と突き放した。

 生まれ育った街で、水を得た。岐阜・長良川球場は「石原劇場」と化した。最大の見せ場は5回。先頭で打席に立つと、中田賢の外角直球をこすり上げた。打球は中堅方向からの風に押し戻されながら、右翼ポール際に飛び込む4号ソロだ。県岐阜商時代には、高校通算60本のスラッガーとして名をとどろかせた。当時の記憶をよみがえらせるような、逆方向への1発。主役はそんな中でも、表情を変えずにダイヤモンドを1周した。

 「入ってよかった。いつも打てるわけではないので、手応えはよく分かりません。チームが勝ててよかった」

 序章は2回の1打席目だった。2死一、三塁から内角直球に詰まりながらも、しぶとく右前に打球を落とし、貴重な先制点をたたき出した。いぶし銀のこの適時打こそ、石原らしさの出た打撃だった。

 思い出の詰まった球場だ。高校2、3年の夏に甲子園出場を決めた場所。特に3年夏の決勝では、本塁打も放った。長良川球場でのアーチは、そのとき以来16年ぶりのことだ。「覚えていないですけど、そういう意味では思い出ですね」。親族も見守る中での活躍に照れた。

 岐阜勢の勢いは、石原だけにとどまらない。岐阜学生リーグの中京学院大で、4年間を過ごした菊池も黙っていなかった。5回1死一塁で、13打席ぶりの安打となる左前打を放つと火が付いた。6回2死二塁で、武藤の直球を捉え、右中間を破る適時二塁打とすると、8回にも右前打を放ち、猛打賞をマークした。

 岐阜の英雄・中日高木監督のお株を奪い、野村監督も「今日は選手を褒めてあげたい。野手も、投手も言うことない」と最大限の賛辞を送った。完勝でライバルに1・5ゲーム差を付けた。織田信長のように天下取りではないが、CS切符取りのターニングポイントとなる勝利だったかもしれない。【鎌田真一郎】