<楽天5-9日本ハム>◇20日◇荘銀・日新スタ
後輩たちにもみくちゃで、一塁側ベンチ前に総出で出迎えた。日本ハム二岡智宏内野手(37)が、代打の切り札の称号にふさわしい一打で存在価値を証明した。4回1死満塁。信頼を置く栗山監督が早仕掛けをした。「いってほしかった」。心身準備ができないまま、その願いに応えた。成長株・中島の代打で、1点ビハインドの場面で打席へ悠然と向かう。楽天片山に1ボール2ストライクと追い込まれたが、執念で外角へ沈む変化球を技で拾った。三遊間を破る逆転の決勝2点打なった。
感傷に浸った。職人に多くの言葉はいらない。「準備をしっかりしていたから打てたわけじゃないんで。手応え?
はい」。今季4打点目、3本目の適時打だった。打率はここまで5分9厘と不振を極め、人知れず苦悩。行動したこともある。チームも自身も低迷していた開幕直後。投手陣がやや不安定なチーム事情を客観的に判断、栗山監督に2軍降格を申し入れた。「僕よりも、中継ぎの投手を1軍に上げた方がいいんじゃないですか?」。
5月下旬に2軍で再調整を強いられても、腐らず、前を向いてきた。指揮官は「にぃ(二岡の愛称)がよくやってくれた。全部、にぃに聞いて」と最敬礼し、たたえた。すべてはチームのため-。そんな思いを、ようやくバットに乗せた。淡々と大仕事をする二岡の生きざま、そのものだった。【高山通史】



