<DeNA9-8阪神>◇20日◇横浜
何点取っても、笑えない。ピンチをしのいでも、最後にサヨナラ負けの屈辱が待っていては、笑えない。阪神は3回に打者12人攻撃で一挙の7得点。その中心にいた新井貴浩内野手(36)は、1点ビハインドとなった6回にしぶとく中前に運ぶ同点打。3安打4打点で、勝利を追い続けた。松田遼馬は15試合、17イニング無失点となる力投で希望をつないだが…。すべてが報われなかった。
7点リードを守れなかった。痛恨のサヨナラ負けを喫した直後。新井貴は暗がりの球場駐車場を黙々と歩いた。
「また、明日」
計り知れない悔しさをひた隠すように、冷静な表情で歩いた。
絶対に、負けるわけにはいかなかった。1点を追う6回1死一、二塁。執念を体現した。外角いっぱいに投じられた加賀のスライダー。バットの先っぽでなんとか拾い、二遊間を抜いた。決して強烈な当たりとは言えないが、打球には虎戦士の思いが詰まっていた。「いい場面で打ててよかった」。大波乱の展開となった一戦、1度は試合を振り出しに戻した。
3回の猛攻劇でも主役を担った。3番鳥谷が左翼フェンス直撃の先制2点二塁打を放ち、4番マートンは四球。なおも2死満塁から三浦の初球、低めスライダーをフルスイング。左中間に上がった大飛球は逆風に押し戻されながらもフェンス直撃。「ランディ(メッセンジャー)が投げる時はなかなか点が取れていなかったので、なんとか取りたかった」。走者一掃の3点二塁打を決め、7得点を導いた。
試合はここからまさかの動きで、4回裏に逆転を許した。このままズルズルと敗戦ロードを歩んでもおかしくない雰囲気。ここで新井貴が同点打をたたき出し、一時的にではあるが、虎は息を吹き返した。
シーズン105試合目。疲労は蓄積される一方だ。15日広島戦前には全体練習を回避。この日も練習前アップの最中、何度も首を曲げ伸ばしして状態を確認する場面があった。それでも、いざグラウンドに立てば、弱音を吐く男ではない。心身ともに大きな疲労がたまった一戦でも3安打4打点。黙々と結果を出すところに意地が見え隠れする。
首位巨人は完封勝利を飾った。ゲーム差は再び7・5に開いた。だからといってファイティングポーズを崩すつもりはない。【佐井陽介】
▼阪神は3回に7得点した。7月14日のDeNA戦(甲子園)の6回に続き、今季2度目。前回は新井良の満塁弾など打者11人攻撃で藤浪に初ナイター白星をプレゼントした。近年では10年10月5日ヤクルト戦(神宮)2回に9得点した例がある。球団記録は69年5月27日のサンケイ戦(神宮)の6回に挙げた13得点。



