<DeNA3-9阪神>◇21日◇横浜
あのままなら横浜でブルーなライトでした。阪神2点リードの6回、中村の右前打を名手福留孝介外野手(36)がまさかの後逸…。イレギュラーによる不運な失策で傷口を広げ、同点とされてしまった。左膝手術から復帰後、初のマルチ安打と気を吐いたが「みんなに助けられた」と勝利にホッ。二転三転の福留劇場。最後は横浜でたそがれずにすんだ。
まさかの光景だった。2点リードの6回無死一塁、DeNA中村の右前打に対し、右翼・福留がチャージした。三塁を狙う一塁走者モーガンとの勝負-。そう思われた瞬間、強烈にスライス回転のかかった打球はグラブの下を抜けていった。あわてて転々とする白球を追ったが、モーガンは生還し、中村も三塁へと到達した。1点差で、なお、無死三塁。リードをふいにする痛恨の失策だった。
「スピン?
関係ない。俺のミス。きょうはみんなに助けられた。マートンも、剛も打ってくれて。スタンに悪いことをした」
先発スタンリッジはその後、荒波に同点適時打を浴びた。つかみかけていた勝ち星の権利を失った。試合後、福留は神妙な表情で振り返った。日本での失策は中日時代の07年6月以来、6年ぶりだった。過去、ゴールデングラブ賞に4度、輝いた。昨年オフ、獲得を熱望した和田監督もその守備力を期待していた。打撃で結果が出ない時も、守備だけは100%を心がけてきた。何よりも、本人がこだわっている部分だけに悔しさは大きかったようだ。
一方で打撃では復調の気配も見せた。2回に先制の口火となる二塁打を放った。状態をはかるバロメーターである左方向への強い打球が出た。4回にはタイミングを外されながらも、右前に運んだ。復帰後初となるマルチ安打だった。
5回には右翼へのライナーをダッシュして捕球すると素早く一塁へ送球。結果的に飛び出した二塁走者との併殺を完成させる好プレーもあった。ただ、すべてが1つのミスで暗転するのが勝負の世界。それを痛いほど知っている福留だけに喜べるはずもなかった。
「(失策の後)もう1本出せれば、よかったんだけど…。きょうはみんなに借りをつくったから、その分、これから返せるようにやっていくしかない」
唯一、救われたのはチームが勝ったこと。ミスを救ってくれた仲間への感謝と、リベンジの思いを胸に、福留は球場を後にした。【鈴木忠平】



