<中日3-1広島>◇22日◇ナゴヤドーム
憲伸が不死鳥のごとくよみがえった。右肩痛などで出遅れていた中日川上憲伸投手(38)が今季初登板で復活勝利を挙げた。クライマックスシリーズ(CS)出場を争う3位広島に2連敗して迎えた3戦目。背水マウンドで背番号11が5回2安打1失点。6回から4人の必勝継投で逃げ切った。広島との差も1・5ゲーム差に縮め、憲伸もチームも生き残った。
崖っぷちの男が崖っぷちのチームを救った。ゲームセットの瞬間、川上は恥ずかしそうにベンチ前に押し出された。勝利のハイタッチの先頭でうれしそうにナインを迎える。岩瀬がウイニングボールを観客席に投げ入れようとしたところを両手を広げて必死にガード。大事そうにボールをポケットに忍ばせた。
「本当に遅いですけど、苦労したピッチングですけど、チームが勝てて良かった」
追い込まれるほど力を発揮する。最大のピンチは2点リードの3回。2死から2四球などで2死満塁とすると、迎える打者は主砲キラ。4球連続ファウルで粘られたが、最後は110キロのスローカーブで空振り三振。3球目には最速145キロを計測するなど、アドレナリン大放出で代名詞のガッツポーズも「出ちゃいましたね」と笑った。
今季途中からイメチェンした。振りかぶる荒々しい姿からセットポジションに変更。本格的にセットで投げるのは08年以来だった。「下半身の意識が薄れていた。セットだと勢いで投げられないから」。高橋2軍投手コーチと下半身を意識したフォームを作り上げた。
「朝、家から出て行くときにね、この年になるとむなしくなってくる」
目を覚ますと気が重くなる。そんなときもあった。前を向かせたのは2軍で汗を流す後輩たちの姿。川上は2軍の練習が始まる1時間半前にナゴヤ球場に到着する。練習前にゆっくりと体を動かし、故障を防ぐためだ。午前8時半のトレーニング室。復活を目指す吉見、朝倉らとともに“朝練サークル”が出来上がった。見えないところで努力を続ける後輩たちに刺激を受けた。
「悪かったら、またということはないでしょ」と“引退勧告”とも取れる発言をしていた高木監督も「プレッシャーがある中でよく5回を投げきってくれた」と大喜びだ。今中投手コーチも試合中に「来週も投げさすよ」と即断。右肩の状態が問題なければ、27日からのヤクルト3連戦で先発することになる。広島に同一カード3連敗を許さず、1・5ゲーム差に押し戻した、チームにとっても大きな1勝。追い込まれた元エースが底力を見せた。【桝井聡】<今季の憲伸苦闘>
◆キャンプ2軍
初日から2軍で調整を続け、ブルペン投球は行うものの状態が上がらず。古傷の右肩違和感の影響だった。実戦登板や1軍昇格のメドが立たないままキャンプが終了。
◆インフル
3月4日にはインフルエンザに感染し、調整も大幅に遅れることになった。昨季は開幕2戦目を任されたが、今季は開幕1軍入りを逃した。
◆一進一退
4月以降はブルペン入りするも、調子が上がらず。5月下旬にようやくフリー打撃に登板した。7月22日に2軍紅白戦で実戦復帰。2回2失点だった。
◆復帰登板
7月28日、ウエスタン・リーグのオリックス戦(ナゴヤ)で今季初登板した。先発し、予定の3回2安打無失点。その後、2軍戦2試合に登板し、3試合で14回10安打3失点(自責0)。



