華々しいプロ野球元年が、幕を開けた。日本ハムのドラフト1位、早大・有原航平投手(22=広陵)が、ルーキーイヤーに「不言実行」でのブレークを誓った。最速156キロの直球と多彩な変化球を操る本格派右腕として4球団競合の末、入団。広陵時代からドラフト1位候補の呼び声高く、早大ではエースで通算19勝を挙げた。右肘痛の影響を考慮され2月の春季キャンプは2軍スタートが濃厚。堅実なポリシーを貫き、まずは開幕ローテーション入りを狙う。

 新たなスタートに、胸の鼓動は高ぶっていた。今年の新人NO・1の呼び声高い有原は、静かに心躍らせていた。「(10日からの)新人合同自主トレとか始まってみないとわからない部分はありますけど、ちょっとドキドキしています」と緊張と喜びに包まれていた。夢の舞台に立つ瞬間を、はやる気持ちを抑えて待っている。

 目の前の壁を乗り越え、道を切り開いていく。広陵では3年時に2季連続で甲子園に出場。早大ではエースとして通算19勝12敗の成績を残した。新人王も狙える素質を持ちながら、高望みをしないのがポリシー。「しばられたりするのが嫌なので、自然体でやりたい」と笑う。「とにかく開幕ローテーションに入って1年間、1軍にいられるように頑張りたい」。等身大の姿で、プロ人生を歩んでいく。

 運命を感じていた。昨年10月のドラフトでは4球団競合の末、日本ハムに入団。尊敬するレンジャーズ・ダルビッシュや、対戦を熱望する中田で知られる、あこがれのチームの1つだった。ドラフト指名直後、恩師の広陵中井監督に胸中を明かしていた。「日本ハムで良かった」。指名球団を総合的に見て感じた、素直な思いだった。期待に応える使命感が芽生えた。

 逆境で磨かれた心の強さを武器にする。昨年は右肘痛の影響で9月にリーグ戦で復帰登板するなど出遅れた。2月の春季キャンプは右肘痛の影響を考慮され2軍スタートが濃厚も、現在はノースローを解禁するなど経過は順調。「高校、大学通じて厳しい練習でも最後まで諦めずにやってきた。それは続けていきたい」。信念を秘め、たくましくプロの荒波に出る。【田中彩友美】

 ◆有原航平(ありはら・こうへい)1992年(平4)8月11日、広島県生まれ。小学校時代に河内少年軟式野球クラブで野球を始める。広島三和中を経て広陵に入学。硬式野球は高校からで、2年春からベンチ入り。3年時に春夏連続で甲子園に出場。早大に進学後はリーグ戦通算62試合に登板し、19勝12敗。最速156キロの直球とスライダー、カーブ、チェンジアップ、カットボール、ツーシームの変化球を操る。家族は両親と兄。189センチ、96キロ。右投げ右打ち。