投げるおかわり君が巨人にやってきた。8日の新人合同自主トレで、ドラフト2位の戸根千明投手(22=日大)がひときわ目立った。173センチ、93キロと巨漢だが、アップの動きは誰よりも軽快。キャッチボールではスリークオーター気味のフォームから力強い球を投じた。汗たっぷりの戸根は「動けるデブなんで」と笑った。

 ぽっちゃりだが動ける姿は西武中村とかぶる。大学2年冬に、強い球を投げるために肉体改造に着手し、2年間で20キロの増量に成功。球速も147キロまで上がった。「太ることで走れなくなることを覚悟していたけど、なぜか足が速くなったんですよ」と、まさかの結果に驚いた。ぽっちゃりながら50メートル走は6秒0と、見た目からは想像もつかない瞬発性を誇る。

 体重は現状維持が目標だが、誘惑がある。寮の食事のメニューが多いことだ。「あれもこれも食べちゃうんです」。大学時代は1日8食だったが、今は1日4食に減らしている。「朝昼晩と夜食です。夜食のお気に入りはうどんです」と照れ笑いした。ご飯の量もラーメン用のどんぶり超大盛りから、通常の茶わんで2杯程度にした。「今が一番良い体重だと思うんです。これを維持したい」。体格からフォームまで、巨人にはいないタイプ。自分らしさを前面に出し、軽やかに突っ走る。【細江純平】