V奪回へ-。ヒデキ、カンゲキ!

 日本ハム栗山英樹監督(53)が21日、謎めいた「優勝神話」にあやかった。札幌市内の「北海道四季劇場」で、劇団四季の代表的ミュージカル「キャッツ」を観劇した。昨年までの31年間で上演地を本拠地とする球団がセ、パ両リーグで計14度のリーグ優勝、6度の日本一という「招き猫」の御利益にあやかった。今オフに多種多様な課外授業で自己啓発し、これが大トリ。猫のマネをするなどノリノリで締め、戦闘モードを整えた。

 ハイテンションで、はじけた。長く、過酷なペナントレース。トップでゴールする決意。栗山監督がなりふり構わず、一夜限りで「猫ひでき」へ大変身だ。劇場内に入ると、セットの一部、日本ハムのユニホームにサイン。験担ぎのセレモニーを終えた。おもむろに両手を丸めてポーズを決め、いきなり鳴いた。「ニャー」。続けて臨んだ観劇前の決意表明では、合いの手を入れるように「ニャー」と「ミャー」を計5度、織り交ぜた。一糸乱れぬ壮観のショー。終演後は、大真面目に「瞬間、瞬間を全力でやらないといけないと思った」と火照っていた。

 実在すると信じたい「招き猫」に、ようやく会えた。スーツに身を包み、襟を正して約3時間、芸術的なミュージカルに酔いしれた。北海道では17年ぶりの上演。キャンプイン間近で多忙だが、足を運んだ理由がある。昨年末、耳に入った“超常現象”に衝撃を受けた。昨年まで31年間で、上演地の球団が計14度リーグ優勝。昨年までの2年間は仙台、福岡。栗山監督が逃したパのペナントをさらったのが、くしくも楽天とソフトバンクだった。「2年続けて…。勝たなかったらオレのせい。キャッツさんに申し訳ない」と重圧ながら、楽しんだ。

 高鳴っていた思いを、ようやく解放した。動物好きで、現在は愛犬家。幼少時から触れ合ってきたが、シャム猫を飼育したキャリアも持つという。「招き猫」の存在を意識して以来、存在意義が大きくなった。「猫を見る目が変わったんだよね。『あぁ、猫ちゃ~ん』みたいに」。今オフには奈良・東大寺の長老やヒグマ猟師と対面。ほか極秘で各業界の複数のトップランナーとも、自ら交流した。監督業へ生かす刺激を求めた多種多様な課外授業。「これが最後。キャッツで締めると決めていた」とフィナーレに選んだ。

 最高ランクの演劇から、学びも多かった。「感動しました。感動は推進力」。公式戦中の決めゼリフを引用し、感銘の体験を明かした。野球へと転化させ、2月のキャンプから世代交代する激動のチームを動かしていく。万人には理解が難しいかもしれないが昨季3位からの巻き返しへ、ヒントはつかんだようだ。「犬より猫の方がキレ味があるよね、動きとか。キレ味ね。だからキャッツっぽい野球をやるよ」。勝ち運をつかむため、鳴いた。ヒデキ、カンゲキ!

 した。今季は泣かない。ヒデキ、ハンゲキ!

 だ。【高山通史】

 ◆ミュージカル「キャッツ」

 81年に英国ロンドンで開幕し、世界36カ国で上演。日本では劇団四季によって83年に東京で初演された。東京など主要都市だけでなく静岡、広島、仙台など計9都市で上演。国内上演回数は8800回を超え、総入場者数は約880万人に上る。今回の札幌公演は17年ぶり3回目。都会の野良猫たちが主役で、24匹の猫の中から特別な1匹を選ぶジェリクル舞踏会が開かれるという物語。<栗山監督主な異業種交流>

 ◆13年オフ

 栗山町内を中心にキノコ栽培の名人、ビニールハウス作りにたけた農家らを訪問。「キノコの種って暖かいと育つと思っていたけれど1度、しばれさせる(北海道の方言=凍らせる)んだ。選手も1回、そうやってしたら成長するかもしれない」。

 ◆14年オフ

 ヒグマ専門で伝説的な猟師、久保俊治氏(標津町在住)と懇談。ヒグマの冷凍肉、シマフクロウの羽を2本プレゼントされ「やるからにはクマのように暴れます」と決意。ほか、奈良・東大寺の長老の講話を授かり、長老の座右の銘「未徹在(みてつざい)」に感銘を受けた。