阪神福留孝介外野手(37)がハワイから帰国した翌日の21日、いきなり全開モードで動いた。午前中から甲子園でダッシュを繰り返すと鳴尾浜では80メートルの遠投も披露した。オフに断食を敢行して5キロの減量に成功したことも判明。体のキレは抜群だ。和田監督は「1番・鳥谷」のスペシャル構想を持っているが、代わりに3番を任せる有力な候補として存在感を示した。

 だれもいない甲子園の芝生を1人、黙々と走る男がいた。前日、自主トレ先のハワイから帰国したばかりの福留が日本で真っ先に向かったのはやはり聖地だった。ダッシュに近い速さでポール間を何度も往復した。その後は内外野の境目などでダッシュを繰り返す。時間にして約1時間、距離にして5キロ以上は走っただろうか。時差ぼけをまるで感じさせない動きだった。

 さらに特筆すべきはシャープになった肉体だ。軽快に走る肉体は見た目にもわかるほど絞られていた。

 「年寄りだからね」

 そう言って笑った。多くは語らなかったが、関係者によれば、日本を離れている間に2年連続の「断食」を敢行したという。酵素ドリンクだけで4日間を過ごし、体重は5キロも落ちた。体のキレは明らかだった。

 さらに、その後は鳴尾浜球場に場所を移すと、狩野を相手にキャッチボールを行った。

 「塁間くらいいけばいいか。球いかねえな」

 「肩は時差ぼけや」

 そんな言葉とは裏腹に福留はどんどん距離を広げていった。パートナーの狩野は送球がワンバウンドになり始めて「結構、離れるんですね…」と青ざめる。それでも距離を広げて、最終的には80メートルまでになった。福留は平然とノーバウンド送球を続けた。

 「シーズンでもあんな(距離)投げないよ。さすがです。(オフにこんなに投げたのは)初めてです」

 この時期、異例の遠投が終わると、狩野は目を丸くした。福留の仕上がりの良さを証明する光景だった。

 和田監督は今季の目玉構想として「1番鳥谷」の可能性を掲げている。指揮官がずっと温めていたプランだったが、昨季は西岡が早々に離脱したため、数試合しか実現せず。出塁率の高い鳥谷をトップバッターに置くには強力な3番打者が必要だ。その有力候補として挙がるのが福留だろう。

 「僕が決めることではないので。ただ、どうなってもいいように準備をするのが仕事。トリがいるといないでは(打線の)流れが違うし、まるで別のチームといってもいいくらい」

 すでに史上最年長首位打者を狙うと宣言している。福留が真の復活を遂げれば、猛虎打線はさらにバージョンアップできる。そんな期待を抱かせる福留の動きだった。【鈴木忠平】