ボクシングの元東洋太平洋2階級王者で2度の世界挑戦経験を持つ日本ライト級8位佐々木基樹(41=帝拳)が6日、現役引退を表明した。後楽園ホールで行われた級6回戦で、15年東日本新人王の石川元希(M・T)に0-3で判定負けした後、「続ける気はない。自分に幻滅しますね」と明言した。身長差で7センチ上回る長身の相手の懐に飛び込んでの右パンチを狙ったが、空砲に終わる場面が目立った。「自分の思うような形に持っていけなかった。物言いはない」と潔く負けを認めた。

 97年2月のプロデビューから20年。08年2月に東洋太平洋ウエルター級王者となると、09年10月にはウクライナでWBA世界ウエルター級王者センチェンコ(ウクライナ)に挑戦した。0-3の判定負け後は10年7月に東洋太平洋スーパーライト級王座を獲得して再起を果たすと、11年6月にはメキシコでWBC世界ライト級王者ソト(メキシコ)に挑んだが、11回負傷判定で敗れた。

 13年5月の試合で敗れた後に引退を表明していたが、「自分の限界を知りたい」と16年2月に復帰。その後は3連勝し、「ベルトを巻くこと」を目標にリングに上がり続けてきた。この日はガウンではなく和装、リングシューズもいつもの地下足袋と個性際立つスタイルは変わらずも、サウスポーに打ち込む得意の右には往年の精度、力強さがなかった。

 「地球上のいかなる人間も時の流れには逆らえない。力ここまで」。試合中には打ち合いの中で笑顔とも思えるように口角を上げる場面があった。「笑っていましたかね。楽しいと自然に出るんでしょうね。やっぱり、なんといっても楽しいですよ」。55戦42勝(26KO)12敗1分のキャリアを残し、長いボクシング人生を終えた。