米国総合格闘技団体UFCと独占交渉契約を結んだ北京五輪柔道100キロ超級金メダリストの石井慧(22=国士舘大4年)が、来年1月中にも所属選手契約を結ぶ可能性が高くなった。27日(日本時間28日)のUFCとの交渉で、1月31日のUFC94大会(米ラスベガス)にも招待を受け、承諾していたことが29日、分かった。石井は29日に帰国したが、早ければ1月上旬にも再渡米する。

 石井がUFCと1月中にも契約金、契約期間、ファイトマネーなど細部で正式契約する可能性が高まった。UFC92大会視察で渡米中の27日(日本時間28日)に同団体と独占交渉契約を結んだ石井は、次のラスベガス開催となる1月31日のUFC94大会観戦も招待され、受諾した。29日に帰国した石井も、早期の米国での練習開始と所属選手契約締結を希望。「近いうちに渡米すると思います」と話した。

 UFCが総合格闘技経験のない選手を2度も招待するのは異例。その日はタンパで行われるNFLスーパーボウル前日で、試合の賭けのために全米からギャンブルタウンのラスベガスに人が集まる。その人々がUFCを観戦する公算が大きく、UFC側はそこに石井を招待して知名度を上げる狙いで、それほど入れ込んでいる。石井自身も今回の3泊5日の渡米を終え「進歩した感じがする」とUFC入りへ一直線。語学習得について渡米前は「格闘家は肌を合わせれば言葉はいらない」と語っていたが、帰国後には「イングリッシュも覚えないといけないですね」と米国生活を早くも現実的に考え始めている。

 30日に今年最後の練習を行った後、「1年間使い込んできたエネルギーを蓄えに行って、天と向き合って来年1年を考える」ために山にこもる。その前に「応援に行くかもしれません」と親交のある小路二等兵(34)の応援でハッスル観戦を示唆。一方で大みそかの「Dynamite!!」は「もともと日本の格闘技に入っていないし、未練も何も」と言い切った。渡米前に生やしていたひげも帰国時にはすっきり。「(UFCで)できそうだなっていうか、やってみたいなって気持ち」。石井の心はすでに固まっている。【浜本卓也】