<プロボクシング:WBC世界ライト級暫定王座決定戦12回戦>◇27日(日本時間28日)◇米テキサス州サンアントニオ・AT&Tセンター

 世界初挑戦となった同級1位の荒川仁人(31=八王子中屋)が0-3の判定負けで暫定王座奪取を逃した。敵地で無敗のホープとなる同級3位のオマール・フィゲロア(23=米国)と激突したが、敵の強烈な右拳を浴びて2回、6回にダウンを喫した。中盤以降は接近戦からのボディー攻撃で反撃して最終回まで戦い抜いたが、ジャッジ3人の採点は全員が10点差以上をつける大差での判定負けとなった。

 粘り強い荒川の激闘は実らなかった。左右にスイッチしながら強打を繰り出すフィゲロアに対し、2回に右ストレートからの連打を浴びてダウンを喫した。6回には強烈な右フックを顔面に浴びて両ヒザが落ち、レフェリーにダウンを宣告された。右フック、左アッパーを受け、何度も足元がふらついた。左目周囲は大きく腫れ上がったが12回を戦い抜いた。しかしジャッジの採点は1人が107-119、2人が108-118と大差がついた。

 「とにかくフィゲロアの方が強かった」と完敗を認めた荒川は「この舞台に立つまで大きな協力を得て、たくさんの人が応援してくれた。諦めるわけにはいかない、と思いながら戦った」と驚異的な粘りをみせた理由を明かした。高校時代は静岡・下田南高(現下田高)南伊豆分校野球部の投手で主将。今も丸刈り姿が似合う元高校球児は「勝負の夏」に勝つことはできなかった。