<プロボクシング:フライ級4回戦>◇17日◇東京・後楽園ホール

 東大卒の公認会計士兼税理士ボクサー柏野晃平(26=川崎新田)が、プロデビュー戦を行い、2回KO勝利を収めた。23戦のキャリアを持つタイ人選手と対戦した。豪快な左ストレートで初白星をつかみ取り、来年の新人王優勝を目標に掲げた。

 偏差値70を超える頭脳が、リングの上でもさえ渡った。柏野は2回、セコンドの「ボディーを打て」の指示を冷静に聞くと、上下にパンチの連打を打ち分け、最初のダウンを奪取。再開後はプレッシャーに負けた相手が出て来る瞬間にカウンターの左を合わせ、鮮やかに試合を終わらせた。

 「ファイトプラン通り戦えました。途中でリズムが止まってしまったので自己採点は70点。セコンドの指示を冷静に体に落とし込めた。右脳と左脳のバランスが良かったですね」。照れながら声援に応えた後、“天才”ボクサーらしく淡々と試合を分析した。

 東大でボクシングに出会うと、10年の全日本ライトフライ級で6位に入るなど活躍。卒業時にプロ入りを勧める声もあったが、親の反対で断念した。それでも、昨年10月に「仕事ばかりの生活の中で、強い者に憧れた」と一念発起。3年のブランクを経てリングに戻ると、7月末のプロテストを受験し一発合格した。

 税理士事務所での仕事が多忙なため、練習時間を確保するのが課題となっている。両立は容易ではないが「ボクシングは自分自身のチャレンジ。上を目指していきたい」と力を込めた。今後は来年の新人王を取ることを目標に掲げた。【奥山将志】

 ◆柏野晃平(かしの・こうへい)1988年(昭63)1月29日、大阪・高槻市生まれ。東京・攻玉社高から07年に東大経済学部に現役合格。11年在学中に公認会計士の資格を取得。同年9月に卒業し10月から社会人。ボクシングは大学から始め、アマ戦績19勝8敗。家族は両親、妹。左ボクサーファイター。163センチ。