<プロボクシング:WBC世界ライト級王座決定戦12回戦>◇30日◇東京体育館

 WBC世界ライト級1位のホルヘ・リナレス(29=帝拳)が、2度目の挑戦で3階級制覇を果たした。同級2位のハビエル・プリエト(27=メキシコ)を4回1分50秒、KO勝ち。「このチャンスをずっと待ってた。良かった、本当に」と喜びに浸った。

 4回、強烈な一撃を打ち下ろした。それは試合前のミット打ちで、周囲を驚かせた右ストレート。「いいパンチだと手が痛い。やっぱり痛かったよ」。手応えは十二分。たった1度の右で、相手を沈めた。

 最初の挑戦は3年前だった。誰もがベルトに届いたと思った試合は、リードしていた11回に壮絶な打ち合いで散った。再起戦も敗れ、昨年11月のWBA世界同級王者への挑戦は、試合10日前に中止にもなった。

 悲運を振り払えたのは、女神の存在。今年から日本で同居する身重のミッチェルさん(23)と来年、約2年の交際を経て結婚する。6月には家族も増える。婚約者の父も自身のファン。新たな支えが力になった。

 手にしたベルトを「軽い」と笑い「チャンスがあったらWBAのベルトが欲しい。なければ防衛する」。ベネズエラから来日して12年。日本育ちの王者が再び歩み出した。【今村健人】

 ◆ホルヘ・リナレス

 1985年8月22日、ベネズエラ生まれ。アマ戦績151勝5敗。17歳で来日。02年12月に帝拳ジムからプロデビュー。07年7月にWBC世界フェザー級王座、08年11月にWBA世界スーパーフェザー級王座を獲得。173センチの右ボクサーファイター。