大相撲の元関脇で、秋場所(13日初日、東京・両国国技館)で幕下に陥落した若の里(39=田子ノ浦)が3日、東京・両国国技館で現役引退会見を行い、年寄「西岩」の襲名を発表した。

 冒頭で「本日、相撲協会に引退届を提出いたしました。今までお世話になりまして、ありがとうございました。今後は年寄・西岩として、後進の指導に頑張っていきたいと思います」とあいさつした。

 名古屋場所から1カ月が過ぎての発表になり「千秋楽を終えた時点で、自分の中ではけじめがついていた。ホッとしたという気持ちです」。一方で「本音を言えば、まだまだやりたかった」と心境を明かした。終始気丈に振る舞っていたが、同席した入門同期で師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)が「大事な仲間。自分の引退より悲しいような、複雑な気持ち。(名古屋場所で)何かもうちょっと、してあげられたかなあ」と、先に涙。これにつられるように、目頭を熱くした。

 現役時代で印象に残る取組は2つ挙げた。1つ目は98年秋場所10日目の横綱貴乃花戦(上手投げで敗戦)。「中3のころ、当時貴花田関に弘前巡業で稽古をつけてもらった。それで(入門を)決意した。雲の上の存在だった人と対戦できるようになった。普段は負けたら悔しいですけど、その日だけは悔しさより、うれしさがありました」。2つ目は昨年九州場所10日目、元付け人の十両輝戦(すくい投げで勝利)で「2年間付け人を務めてくれていた。特別な感情がありましたね」と懐かしんだ。

 23年半の現役生活に、後悔は「全くないです」ときっぱり答えた。親方として、第2の人生を歩み始める。