大関稀勢の里は1敗を守り、平幕貴ノ岩が2敗に後退したため、再び単独トップに立った。

 稀勢の里が、再び優勝争いの単独トップに立った。立ち合いで十分の左四つになって右上手も引くが、1枚まわしで引きつけられない。それでも終始、照ノ富士を攻め続けた。土俵際で粘られて上手が切れても、攻め手を緩めない。「(上手が)長かったからね」と、冷静に深くつかみ直して寄り切った。

 前日9日目の琴奨菊戦とは一転して、前に出る力強い相撲に「集中してやれました」。取組前に平幕貴ノ岩が敗れ、1敗はただ1人となっていたが「いや、相撲に集中して」と、雑念は頭になかった。

 10日目を賜杯争いの単独首位で終えたのは昨年春場所以来。同場所は11日目に白鵬、12日目は日馬富士に連敗し、悲願を果たせなかった。勝負の終盤戦。「1日1日、勝負ですから。1日一番、集中してしっかりやるだけです」。過去の苦い経験を今度こそ糧にする。