新入幕で東前頭14枚目の阿武咲(20=阿武松)が、2桁勝利を評価され敢闘賞を受賞した。場所前の新入幕会見で明かした「2桁は勝ちます」という“公約”は、14日目に到達。さらなる星の上乗せを狙って臨んだが、西前頭7枚目の貴景勝(20=貴乃花)に押し出され、有終の美は飾れなかった。

 相手の貴景勝は同じ20歳で、互いに良きライバルとして認め合う関係。それだけに負けた悔しさから「後味、悪いっすね」の言葉を何度か口にした。互いに押し相撲を身上とするだけに、完敗に近い勝負が許せなかった。

 ただ、今場所を振り返るときには冷静に自己分析。「いいところも、悪いところも全部、出ました。課題が見つかりました。自信になった部分もあります」と話した。場所前には関脇高安(27=田子ノ浦)が出稽古に来て、三番稽古で鍛えてくれた。その高安の大関昇進は確実となり「めちゃめちゃ、うれしいです。普段からかわいがってもらっています。追いかけます」と話した。

 また千秋楽の7番相撲で、入門時から世話になった兄弟子で幕下の大和富士(32)が引退した。しんみりした口調で「さみしいです。入門して大和さんと1日何十番も稽古して“2人で幕下上位で頑張ろう”と言い合った仲なんです。私生活も支えてくれたし、あの人がいたから自分は幕内にも上がれたんです。さみしいです」と感謝の気持ちを言葉に込めた。