春場所中の付け人への暴力行為により夏場所出場停止処分を受けた西幕下49枚目貴公俊(21=貴乃花)が、西幕下52枚目對馬洋(25=境川)を下して勝ち越しを決めた。

 立ち合いで低く中に潜られたが、左を深く差して動きを止めた。上手投げを仕掛けられたが耐えて、体を正面に持っていき左四つに。そのまま一気に土俵際まで押し込んで、送り出しで勝負を決めた。予想していた立ち合いではなかったというが「慌てなかったのがよかった」と土俵上では冷静だった。

 囲み取材を受けている途中、師匠の貴乃花親方(元横綱)が目の前を通り過ぎると取材を一時中断して追いかけて、勝ち越しのあいさつをした。特別なことは言われなかったというが「やるべきことは決まっている。言われなくても変わらない」と言葉はいらなかった。

 謹慎明けの場所で、無傷で勝ち越しと奮闘している。「日に日に集中力は高まっている。今まで以上に、みんなのためにと思っている。攻めきることだけを考える」と、ますます気合を入れた。