<フィッシング・ルポ>

 史上初の“親子連覇”だ!

 「2011日刊スポーツ・フィッシング・サーキット」湖川ブロック・ヘラブナ部門のグランドチャンピオン大会(GC)が19日、千葉・三島湖で開催された。予選4地区を勝ち上がってきた19人と昨年度覇者のシード選手計20人(1人が途中棄権で記録は19人)が覇を争った。豪雨と強風の中、昨年度覇者の高橋純也さん(26)の父正純さん(55)が唯一20キロ台を記録し、参加3度目で初優勝を奪い取った。

 オヤジの威厳が復活した。検量終了8分前、高橋親子がそろって帰還した。父正純さんがただ1人、バケツ2杯にヘラを入れて戻ってきた。圧勝だった。笑顔がはじけた。

 昨年は予選敗退してGC進出ならず、息子純也さんがGC初制覇を成し遂げた。ヘラ釣りを手取り足取り教えた息子に先を越され、「内心、穏やかではなかった。悔しい1年でした。これでオヤジの面目を保てた」と胸を張った。

 GC前日の18日、親子で試釣に三島湖に入った。正純さんは三ツ沢奥の岬と小島の間に入った。天気が崩れるのを予測し、風裏になる場所を想定した。しかし24尺での底狙いで、ブルーギル40匹、ヘラは1匹しか釣れなかった。それでも、GC当日は同じ場所に入った。「宙釣りにしようかと思ったが、底からの方が釣れるとの情報を耳にして、途中で08年覇者の大関実さんに『エサを硬くして持ちを良くすればいい』とのアドバイスをもらって吹っ切れた」と振り返った。

 「バラケ&グルテン」だったエサを「両ダンゴ」に替えた。最初こそブルーギル3連発だったが、4回目のアタリで「コイかと思った」という巨ベラを底でキャッチして確信を得た。昼までに28匹、午後も好釣さを維持して計43匹、総重量26・6キロで、ぶっちぎりの初優勝を飾った。

 連覇を狙った純也さんも好釣だった。昨年と同じお宮下で、30尺の長ザオを振り続け、40匹を釣ったはずだった。「フラシに穴が開いていて半分の20匹に逃げられた。腕は痛いし悔しいです」と唇をかんだ。2年連続準Vの矢嶋英雄さん(64=さいたま市)は「左隣で純也君がバンバン釣っていたので、またやられたと思った。前日よりも食いが渋かった」。3位の石下博未さん(68=江戸川区)は「最初24尺から入ったけど最終的にいろいろ迷って19尺で落ちついた。サオ選びで失敗した」と苦笑いを浮かべた。

 正純さんは、05年に親子でGC初参加し、11人中、純也さんが8位で、正純さんは10位。2度目の07年はボウズ(釣果ゼロ)で最下位だった。「ようやくGCで勝てた。うれしい。来年はシードで出場権ありますね」と笑顔を見せた後で、純也さんに「予選はしっかり頑張れよ」とハッパをかけた。純也さんは「今日はバツゲームでオレが運転します。でも、来年は予選を余裕で通過して、ここに戻ってくる。フラシをちゃんとチェックして」と、悔しさを紛らす冗談を口にして三島湖を後にした。【寺沢卓】

 ▼宿

 日刊スポーツ新聞社指定「ともえ」【電話】0439・38・2544

 出舟は午前6時30分。ボート1日3000円、放流バッジ所持者は2500円。宿泊施設、食堂あり。交通は車利用が便利。詳細要確認。

 ◆大会成績

 <1>高橋正純(55)43匹、26・6キロ<2>矢嶋英雄(64)33匹、17キロ<3>石下博未(68)24匹、13・5キロ<4>雨宮光一(56)25匹、13・4キロ<5>松岡秀行(40)15匹、9・1キロ