自民分裂となった福岡6区補選は、鳩山二郎氏(37)が圧勝、亡き父の地盤を守った。自民党が2勝、民進党は蓮舫代表の初陣を落とした。

 故鳩山邦夫氏の次男、二郎氏が、党福岡県連の「ドン」、蔵内勇夫県議の長男、謙氏(35)との身内対決に圧勝した。二郎氏は「父もともに戦い、支えてくれた。感謝したい」と頭を下げた。会見中、自民党の二階俊博幹事長から「追加公認」の電話を受けた。

 今年6月の邦夫氏の死去後、自民党福岡県連は謙氏の擁立を決め、党本部に公認申請。二郎氏は、大川市長を辞して立候補。大票田の久留米市は、鳩山家と縁が深いブリヂストンの地元。弔い選挙で「鳩山ブランド」はやはり強かった。党本部も、二郎氏を「勝てる候補」とみて謙氏の公認申請に応じず、父の勇夫氏は告示前日、県連会長の辞意表明に追い込まれた。

 邦夫氏と親交があった小池百合子都知事も、早い段階で二郎氏側に応援の意向を伝達。告示前日、計9500人を動員した「小池劇場」を福岡で再現。蔵内氏陣営を打ちのめした。

 結果は、安倍政権の人間関係にも影響しそうだ。蔵内氏の選対本部長は、邦夫氏と関係が悪かった麻生氏。一方、邦夫氏が率いた「きさらぎ会」顧問の菅義偉官房長官が、二郎氏を支えた。麻生、菅両氏は、安倍晋三首相の盟友と懐刀だが、経済政策などで、たびたび対立。菅氏との「代理戦争」に惨敗した麻生氏の求心力低下は避けられない。