東京都の小池百合子知事は1日、豊洲市場の建物下に従来方針と異なり盛り土がなかった問題で、元市場長で現副知事の中西充氏ら8人(退職者を含む)が実務上の決定者だったとして、懲戒処分すると発表。幹部の責任感の欠如が、今回の事態の要因と切り捨てた。当時の都知事で、明確な回答をしていない石原慎太郎氏(84)の責任追及にも執念をみせた。一方、豊洲移転の是非に関し、近くロードマップ(工程表)を公表する意向も示した。

 小池氏は、会見で報告書を発表。11年8月の部課長会議で、地下にモニタリング空間を設置する方針が決定→12年5月に盛り土を実施しないことが確定したと述べた。発案者は特定していないが、幹部8人が「事実を知り得る立場にあった」と断定。方針転換に必要な手続きを取らず、事実と違う答弁を続けた責任から懲戒処分にすると述べた。

 問題の要因を、責任感の欠如や前例踏襲など、いくつも列挙。「残念ながらきりがない」と嘆いた。

 8人には、問題発覚後、「盛り土がないことは認識していなかった」と述べた岡田至氏、中西副知事の市場長経験者のほか、元管理部長で、現在は五輪・パラリンピック準備局長として東京大会の準備に当たる塩見清仁氏も含まれる。小池氏は「報告を受けていないという話で、済まされるわけではない」と語気を強めた。公務員を離れたOBも含め、懲戒の内容を今後検討する。8人には今後処分が通知されるが、納得しないケースも「十分あるのでは」(都関係者)という。

 9月公表の1次報告書に不備があり、行政監査で、のべ28人から意見聴取し新たな報告書を作成。小池氏は「新たな資料や証言を分析し、かなり絞り込んだ」と評したが、石原氏の責任はまだ確定していない。

 「これでファイナルかといえば、石原元知事には書面で答えてもらったが、記憶にないというようなことばかりで、ほぼNO回答。どんな形で、より関係していた人をヒアリングできるか、会うのか、書面か。引き続き検討する」。小池氏は石原氏の責任解明に執念をみせた。当時の側近への調査に及ぶ可能性もある。

 盛り土の話は、豊洲問題の「スピンオフ」。移転の是非という本筋の問題は、今も不透明だ。本来なら7日、移転するはずだった業者は、混乱のとばっちりを受けたまま。小池氏は「いくつかパターンがある」として近く、工程表を公表する意向を示したが、これからが本題だ。【中山知子】